「行こうぜ最後に“アイスの森”」

「“アイスの森”な」

「うわぁ! ビビった!」

「何してんすか、先輩!?」

「何って、部室来たんだろうが」

 部室の入り口にO先輩が立っていました。

「聞いてたんすか?」

「聞いてたよ」

「全部……?」

「どうだろなぁ~」

「ねぇ、恥ずいですって!」

 かすかに蓄えた口髭とギラッとしたネックレスに外ハネ気味の黒髪。O先輩はホットスナックの入ったコンビニ袋を部室のテーブルに置きながら、かぶっていたキャップを脱ぎました。

「ちょうどさ、お前らと送別会とは別にどっかで遊びたいなぁと思ってたんだよな」

「普通に全部聞いてたんじゃないっすか……」

「それよりいいじゃん、行こうぜ最後に“アイスの森”」

 O先輩はコンビニ袋からフランクフルトを1本取り出し、ビリっと音を立てて封を破りました。やたら響いたその音とは裏腹に、さっきまで笑い声に満ちていた部室は妙な静けさに包まれたそうです。

「そんな急にビビるなって。多分言うほどじゃねぇよ。ネットにも載ってないし」

「余計怖いっす。てか、なんなんすか、そのアイスの森って」

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