「アグネスが正しかった」発言を撤回した、大物先輩歌手

上野 アグネスさんとしては母乳育児をしたいということが先にあって、その条件が叶うならとテレビ局の申し出を受けた。にもかかわらず端で見ていて批判する人達が現れ、クレームがついたということでしたね。

アグネス はい。芸能界の先輩である歌手の淡谷のり子先生もその一人です。淡谷先生は芸に厳しい方で、淡谷先生にも娘さんがいるのですが、そのことは公表しませんでした。ご自分の妹さんに娘さんを預け、ご自分は芸に打ち込むことを選んだと、淡谷先生が話してくださいました。

上野 アグネス論争後に淡谷さんと話をする機会がありましたか?

アグネス はい。アグネス論争から5年くらい経過した頃でした。淡谷先生は、「娘は私とは話もしてくれなくて随分と寂しい思いをさせたし、自分も寂しい思いをした。アグネスが正しかった」と言ってくださったんです。

上野 それはそれは。今の話を聞いてとても嬉しいです。

アグネス 淡谷先生が、女性が仕事を続けていくためには犠牲にしなくてはいけないことがあって、それがあたりまえだった時代を生きるのは厳しかった。でも時代が変わって、アグネスのように子育ても仕事もあきらめないという生き方が許されるようになったのは女性として嬉しいと言ってくださった時、思わず泣いてしまいました。

上野 淡谷さんが「アグネスが正しかった」と考えを変えられたことに関しては、今の話を聞くまで、私も含めて誰も知らなかったかもしれません。私としては、淡谷さんのこの撤回発言を聞けただけで、この対談をした意味があると思うくらい価値のある情報だと思います。

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