肌の調子がいいと一日を機嫌よく過ごせる。スキンケアは見た目だけでなく心にも関わってくるからこそ、自分の肌が本当に必要とする化粧品と出会えるよう、自分なりの判断基準を確立させよう。


 憧れの人がすすめるスキンケアアイテムが、自分のベストとは限らない。でも、自力で探すには商品の数も情報も多すぎて何を選べばいいのやら……。そんな悩みを抱える人に向けて、美容外科医で化粧品開発者の上原恵理先生に、スキンケア選びで押さえるべきポイントを教えてもらった。

「実は私も、開発をはじめた6、7年前までは『化粧水はただの水』と誤った情報を発信する医師と同じで、医学が一番、シミ消しにはレーザー一択と思っていました。ところが、医療機関専売品の『ゼオスキン』を使ったら、本当にシミが消えたんです。衝撃的な体験で、美容医療は高額で手が届かない、自分の街にはクリニックがない、という方にも希望をお届けできるのではないかと、リスキリングして化粧品開発の道を歩みはじめました。開発をしていると、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)と現在の化粧品の実態が乖離していることに歯痒さを覚えますし、それが皆さんを混乱させていることもよくわかります」

配合濃度の逆転現象!?

 スキンケア製品は薬機法により「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」に分類され、効果・効能を示せる範囲が定められている。

「簡単に言うと、医薬品は主に治療目的で、基本的に処方箋が必要です。市販のものでは、医薬部外品は美白や肌荒れなど厚生労働省が認めた特定の効果・効能を謳える有効成分が一定濃度で配合されています。化粧品は、肌を健やかに保つのが目的で、効果・効能は持たないという位置づけなので、シワ改善や美白などの効果は謳えません。ところが、です。ビタミンCなどは医薬部外品と化粧品でまったく同じ有効成分が配合されていますし、単純にどちらが優れているとは言いきれないんです

 医薬部外品の有効成分の配合濃度は、長年更新されていないケースが多いという裏事情もある。

「例えば、トラネキサム酸セチル塩酸塩は、2009年にある企業が申請をして認められた美白有効成分です。そして今もなお、配合濃度の下限と上限は、その企業が申請した当時のまま。仮に、現代の技術でさらに高濃度配合できたとしても、申請して承認を得るには膨大な資料とデータを揃えなければならず、費用も時間もかかります。その手間を省くために、承認されている範囲内での商品づくりが続いています。成分によっては、配合濃度に制限のある医薬部外品よりも化粧品のほうが自由に高濃度で配合できてしまうことすらあります

 では、医薬部外品はどのような場合に選択すべきなのだろうか。

「競合調査の一環で、バズった化粧品を第三者機関で成分分析したところ、中にはほぼゴミだねという商品もありました。その点、医薬部外品は効果が期待できる最低限の配合濃度が国によって認められているわけで、少なくともゴミと言われるような化粧品ではありませんよ、ということが言えると思います。目的に合う化粧品を安全に使いたい場合に選ぶのもいいでしょう」

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CREA 2026年春号
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