vol.22_CHANEL
「サブリマージュ」の登場で スキンケアの攻めが変わった!
2006年、シャネルの最高峰スキンケア ラインとして誕生した「サブリマージュ」。当時のスキンケアといえばシワ対策やたるみ対応とか、担当制のコスメが主流。とびきりの心地よさで気になる肌の悩みを一手に引き受けてくれるサブリマージュの登場に嬉しい衝撃を受けたものだ。
実はこのライン、シャネルが取り組むライフファクター(情報伝達物質)の研究とヴァニラの研究が実を結んで生まれたもの。エイジングに関わる複数のライフファクターに着目し、これらにアプローチして肌悩みの要因を摘み取り、エイジングに揺らがない肌を育む。まさにグローバルなエイジングケア!
「“美しさ”という複雑な要素を最もシンプルな形で提供するのがサブリマージュ。ヴァニラの研究をもとに多機能な有用成分の開発や化粧品業界初となる抽出技術など大きな成果を挙げました」と語るのはシャネル リサーチ&テクノロジーを統括するクリスチャン マエさん。パリで実現した今回の取材。研究部門のトップの方からとっておきの話を聞き出すのが吉田の任務。なぜヴァニラだったのか? ヴァニラの何が凄いのか? まず知りたいのがココ。
「植物はそれ自体が科学工場のようなもの。さまざまな分子で構成され、活性しながら自分の身を守り、再生して仲間を増やす。肌に対しても有用な成分の宝庫です。ヴァニラは非常に可能性を秘めた植物で、20年にわたって研究を続けています。その結果、マダガスカル島に自生するヴァニラ プラニフォリアの花や果実(さや)に多くの有用な成分が含まれていることがわかりました」(マエさん)
ヴァニラの品質と自然環境を守るために2年かけてマダガスカル島に専用のシェーダー(栽培施設)を設置し、地元の人たちの協力を得てヴァニラの栽培をスタート。徹底した管理のもと、受粉から収穫までほとんどが手作業で行われるという。そして、抽出にも先進の技が。
「独自の分離抽出技術「ポリフラクショニング」により、数千種類の成分の中から核となる成分を特定し、肌に有用な成分を高純度に取り出すことに成功。果実から、肌本来の力をサポートする成分を、花から、優れた保湿効果と環境からの保護効果を持つ成分を抽出して、サブリマージュのキー成分“ヴァニラ プラニフォリア PFA エンリッチ”が誕生しました」(マエさん)
まるで宝石を磨き上げるように時間と手間をかけて取り出した有用成分。あらゆるターゲットにアプローチする先進のフォーミュラはここから生まれたのである。
2016.03.06(日)
文=吉田昌佐美
撮影=吉田健一