【WOMAN】
不完全燃焼だった青春にリベンジ
やりたいことに気づけたから
東京での大学進学が決まり、〈今度はやりたいことをやるんだ!〉と小さな決意を胸に上京した初音。小さいときから実家の天ぷら屋の手伝いばかりで、部活も放課後のおしゃべりもろくにできなかった彼女にとって、リースの電器店を営む祖母の家に住み込んでの大学生活は「○○デビュー」の連続。それなりに楽しいのだが、本当にやりたいことはなかなか見えてこない。下町らしく職人がたくさん住む町で人々と触れあううち、初音はいいと思った人やモノを紹介するフリーペーパー制作を思いつく。
情報メディアがどんどんウェブ化している状況からも想像できるように、近未来ではフリーペーパーだってウェブ版が主流。だが、初音はあくまで「紙に手書き」というスタイルにこだわり、10部だけ作って賛同してくれるお店での回し読み形式で出発する。その感動が伝播し、人々をつなげていく。初音が本当にやりたかったことは、それなんだろう。
『なりひらばし電器商店』(全2巻) 岩岡ヒサエ
スカイツリーもちょっと古びた文化遺産となった現在から40年ほど後の東京。環境保全のための3R法が定着した社会では、廃棄や資源の損失がとても重い罪だ。そんな中で、森初音はハンドメイドの温かさや職人技に惹かれていく。カレーパン、革製品、江戸切子など、手をかけて作るものの良さを見直したくなる。
講談社 各571円
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Column
男と女のマンガ道
男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!
2016.02.03(水)
文=三浦天紗子