ユネスコ無形文化遺産のパグレースとは?

穴の開いた鉄板にレースを固定し、中心から編み込んでいくパグレース。ルネッサンスの影響を受けているのが特徴。

 パグの町のもうひとつの名物が、ユネスコの無形文化遺産にも指定されている、パグレース。ギリシャもしくはヴェネチアで生まれ、15世紀にパグ島へ伝来。パグ島の伝統的な民族衣装や髪かざりのレリーフに使われ、その後、家を飾るテーブルクロスやハンカチなど、用途は広がっていったそう。民族衣装は19世紀末には特別な時しか身に着けなくなったけれど、その技術は廃れることはありませんでした。

編むテクニックを習うと同時に、読み書きなどの勉強の場でもあったレース学校。

 やがてクロアチアのザダルでレースの学校が誕生し、1906年にはパグにも開校。セント・マルガリータ・ベネディクト修道院は、若い女性たちにレースづくりを教えつつ、読み書きを学ぶ勉強の場でもあったそうです。

 パグレースは穴をあけた台の上にレースを貼り付け、ひと針ひと針刺し、同心円状に編んでいきます。幾何学模様が美しい20センチほどの円形モチーフを作り上げるまでに、なんと60時間もかかるのだそう。根気と美的センスも求められるアートなのです。

 中世の風情が残る、石造りのパグの町並みも魅力的なのですが、やはりビーチパーティーの誘惑にはあらがえず、北部の町ズルチェへ。

2015.12.26(土)
文・撮影=古関千恵子