美術館・博物館での撮影のコツ その3
「展示物以外にも楽しい被写体を見つけよう」

絵画館では地元の子どもたちが課外学習に来ていた。人を入れ込むと絵画の大きさがわかる。

 たくさんの美術館、博物館めぐりを楽しんで帰ってきた後、写真を整理する時に「あれ? この写真はどこの美術館で撮った写真だっけ?」などと混乱したことがないだろうか。ましてや一日に何軒もはしごする駆け足ツアーなら混乱するのも無理はない。

左:マイセン磁器工場博物館の看板。
中:ザクセン民族博物館の看板。
右:ケーニッヒシュタイン要塞の音声ガイドのサイン

 そこで、館内に入る前に看板やサインなど撮影しておくことをオススメする。あとは時系列に並んでいるので、ここからここまでの写真は○○博物館だとわかりやすい。館内のかわいいサインなども雰囲気が伝わるカットになる。

左:アナベルク・ブーフホルツという街の木彫り工房の職人さん。
中:こちらはマイセン磁器工場博物館。
右:アナベルク・ブーフホルツのレース細工工房にて。

 また、職人さんたちのデモンストレーションなどが見学できるところは、職人さんも撮っておくと楽しい。勇気を持って話しかけ、目線をもらって撮影する。するとそこから会話が発生し、楽しい話も聞けるのだ。余裕があれば職人さんの手元などもアップで撮っておくといいだろう。

マイセン磁器工場博物館で絵付けの様子。アップで撮ると線の細かさがわかる。

 ヨーロッパでは、美術館や博物館が丘の上に建っていたり、素敵な中庭が付いていたりするので、作品だけでなく部屋の窓から眺める外の景色も楽しい。

天井を活かすため低いカメラアングルで撮影したアルブレヒト城の館内。

 館内写真は低いカメラアングルで天井の高さを表現したり、鑑賞者をシルエットにして入れ込んだりすると雰囲気が出る。同じ空間を共有した思い出の一枚となるだろう。

人々のシルエットを入れ込んで、ラファエロの作品「システィーナのマドンナ」を撮影。目玉作品なので随時人だかりができている。
窓枠を活かして外の景色を撮影。この時は屋外の光の露出に合わせること。

2015.09.27(日)
文・撮影=山口規子