美術館・博物館での撮影のコツ その1
「ISO感度を上げて好きな作品を狙い撃ち!」

ツヴィンガー宮殿内にある絵画館にはフェルメールの作品「窓辺で手紙を読む女」がある。両隣の絵画も入れて複写的にならないように撮った写真。

 まず自分のお目当ての作品の前に来たら、どこにピントを合わせるかきちんと決めること。作品は逃げない、まずはじっくり自分の目で作品を鑑賞し自分の好きなポイントを決める。すると自然とピントの合わせ場所が決まってくる。またその作品の中の一部を構図で切り取り細やかな模様や質感にポイントを持ってきても面白い。

おもちゃ博物館。馬が輪切りされていく行程が面白いので、手前の馬にピントを合わせた。

 美術館や博物館の撮影の難点は館内が暗いこと。巨匠たちの作品保護を優先し撮影のことなど配慮していないので暗いのが当たり前なのだ。そこで手ブレを防止するためにISO感度を上げる。建物の外観をISO100で撮影していたなら、館内に入った時にISO800~1600程度に設定変更しよう。歩き疲れてクタクタな人はISO3200~6400まで上げちゃおう。

 そんなに感度を上げると画像が荒れるのでは!? と心配する人もいるだろうが、最近のカメラは高感度性能がめざましく向上しているので、そうそう荒れないのである。荒れたら家に帰って現像ソフトでノイズ除去という選択もある。これにはカメラメーカー、ソフトウェア会社に感謝の一言である。

 あとは両足踏ん張って! 脇をしめて! 息をとめて! 狙い撃ち!

ツヴィンガー宮殿内の武器庫にある甲冑の飾り模様や質感を表現した写真。

2015.09.27(日)
文・撮影=山口規子