山写真を撮影するコツ その1
「最高の光をつかまえるために早起きを!」

ミルフォードサウンドに行く途中にある湖。朝霧が静かに立ち込め、その霧が木々に光を当てるための反射板(通称「レフ板」)の役割をしていた。

 まず始めに一番大切なのは「光」。山はどっしりと構えて動かない被写体、ならば撮影者がぐるぐると歩き回って一番よいアングルを探すしかない。その時重要なことは、東西南北の位置と光の角度、光が生み出す色彩なのである。

雲の形が面白い時は思い切って山を捨て、雲を主役に撮影してみるのも良い。

 そしてさらに心しておくことは「光は待ってくれない」ということ。そう、山を撮るなら早起きが基本なのである。「早起きは写真の得!」。

 私は友人に「眠り姫」と呼ばれるくらい眠ることが好き。飛行機でも電車でもバスでもどこでも眠ることができる。そんな私でさえ山に行くと自分にムチ打って早起きをするのだ。

どんよりとした天気の時は山並み全体を入れて遠近感を強調し、露出調整で暗めに撮ると少しだけドラマチックに撮れる。

 眠い目をこすりながら外に出ると、生まれたての光を浴びて輝く山の美しさに眠気もぶっ飛ぶ! 世界中の誰よりもいち早く吸い込んだ今日一番の「一番空気」(これは「一番だし」にひっかけて命名)を先取りした優越感と少し冷たい一番空気が私の肺の中をかけめぐり、自然と微笑んでしまう。「ふふふ、この山、いただきます!」。

 太陽が昇り切ってしまうと光は平坦になってしまうので、そこから太陽が再び傾く夕刻まではアングルや構図、テクニックを駆使して撮影しよう。

2015.08.23(日)
文・撮影=山口規子