世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。
第99回は、大沢さつきさんが、何もかもが桁外れな街ドバイで出会ったラグジュアリーなプロダクツやベスト・オブ・ベストなホテルをご紹介します!
何を買う? ドバイショッピングの極意
ドバイは中東における金融、流通、観光の一大拠点。香港のごときそのドバイでの楽しみ方を探してみた。
まずはお買いもの。超一流のインターナショナル・ブランドが勢揃いしているわけだが、そんなショッピングでは面白みに欠ける。せっかく中東まで来たのだから、日本ではお目にかかれない、ドバイならではのプロダクツをゲットしたい……。
が、ドバイは建国200年足らず、アラブ首長国連邦(UAE)が結成されてまだ44年という新しい街。埼玉県ほどの大きさのほとんどが砂漠という地だ。なかなかドバイ・オリジナルに出会うことはむずかしい。
むしろこの街は、英国の東インド会社の中継地点にはじまり、自由貿易で発展したところ。現在も中東における貿易の最大の中心地なのだから、エキゾチックな輸入品を探すべきかと思い至った。
ドバイは“世界一”が大好きな街で、「ブルジュ・ハリファ」が世界一高いビルなら、世界最大級のショッピングモールのひとつが「ドバイモール」。1200ほどの店が居並ぶ巨大モールだが、ここで見つけたのがイエメン産の超高級蜂蜜だ。
なんでも100%天然・未処理の蜂蜜でミネラル、ビタミン、酵素をたっぷり含んでいるらしい。ドバイでもローカルの蜂蜜は採れるが、このイエメン産のシドルという木から採れる蜂蜜は別格とのこと。中でもDo'aniという谷で採れるものが最上とか。さらにはその谷の限られたエリアで採取される特別な蜂蜜というのもあって、こちらは296グラムで615ディルハム、約2万円というプライスだ。いやいやさすがアラブ。スゴイものが見つかる。
Balqees Honey(バルキース・ハニー)
URL http://www.balqees.com/
ショッピングといえばファッション関連も気になるところ。ドバイの巷にはシルク、パシュミナ、カシミアのショールが溢れているが、なんでもびっくりするようなショールがあると聞き、「プライド・オブ・カシミール」を訪れた。
ここは150年近く続くファミリー・ビジネスの会社で、1980年UAEで創業。ドバイ通いわく、ここのショールはなかなかのハイクオリティだそうで、顧客にはイタリアのフェラーリ社オーナーだの元アメリカ大統領のビル・クリントンだのそうそうたるセレブが名を連ねる。
シャー一族が生産から管理販売まですべてを取り仕切るここの商品は、超最高品質で、伝統的な技法にのっとり、ひたすら高価なものだという。説明は、半年近くかけて山にいる山羊や羊から毛を採るところからスタートした。採取した毛をパートごとに分け、女性が糸に紡ぎ、天然染料で染め……というところまでは、すべてのショールに共通する話。
そして、その中でももっともしなやかなパートの糸を使ったショールに、およそ3年かけて刺繍を施すものがあるという。
この特別な刺繍のショールは、100人の職人の中でもベストな腕を持つ職人しかつくることができない。そのひとりの職人が3年かけて緻密な刺繍を施した作品は、ペルシャ絨毯に匹敵する見事さ。こんなショールを買う人がいるのだからびっくりなのだが、前日、京都の女性が2枚もお買い上げとか。日本の富裕層も捨てたものではない。そして、やはりドバイ。たいしたモノがある。
Pride of Kashmir(プライド・オブ・カシミール)
URL http://prideofkashmir.com/
2015.08.18(火)
文・撮影=大沢さつき