アラビック・インテリアのヒント満載のホテル
「ワン&オンリー・ロイヤルミラージュ」の素晴らしさは、ハード、ソフトともにいろいろあるのだが、このホテル、どこを切り取っても絵になる。シックながらも贅を凝らしたディテールもさすがなら、周到に計算し尽くした採光による見事な演出にはウナる。見落としそうなコーナーであろうと決して手は抜かない。まさに“美は細部に宿る”という設えは、大いに自宅インテリアの参考になること間違いない。
もちろんホテルの魅力的なインテリアすべてを真似することはできないが、色使いだけでも参考にすると、エキゾチックアラブな雰囲気を自宅に演出するのに役立ちそうだ。例えば、紫。一歩間違えたらとんでもなく下品になりそうな色だが、分量のバランス、素材感のチョイスに目を向ければ、上級インテリアに挑戦できそうに思う。
右:「ザ・パレス」にはビーチに向けて、こんな空間が。手前の噴水越しに眺めると、アルハンブラ宮殿のヘネラリフェを思い出しません? もちろんアルハンブラでは、海抜けにはならないが。
そして自宅再現かなわぬのが、ホテルのアラビックな空間。緻密なモザイクタイルや、キリスト教文化とはひと味違うヴォールト(天井のアーチ)の形、ゴールドの色使い。この辺りは建築家やデコレーターの意図を探る面白さを楽しみたい。どこが洗練されているのかを見極めるのも遊びのひとつ。いままで訪れた歴史的な建造物の記憶をたぐりつつ、リソースを探してみよう。
右:「アラビアンコート」の回廊。ヴォールトのカーブといい当然のアラブなのだが、色使いのせいかとてもシック。広く取られた+窓から射し込む光が、居心地のよさを演出する。
2015.08.18(火)
文・撮影=大沢さつき