ご当地のお楽しみ その2
「1000本の糸が織りなす遠州綿紬を使ったインテリア」
遠州綿紬に関するお話をうかがったのは、「遠州綿紬 ぬくもり工房」の大高旭さん。伝統の技術を、いかに現代にフィットさせているのだろう?
――遠州綿紬にはどんな歴史があるのですか?
「遠州綿紬は、綿織物。元より大阪の泉州、愛知の三河、そして静岡の遠州は日本の三大綿生産地で、今も綿花の生産から行っています。祖父が60年前に創業した時代は、もんぺから何から服の素材は綿紬という時代でした。その後、平成になって、海外製品が進出してきたこともあり、生産量が減り、今は伝統の織物として希少なものとなっています。着物用の生地など国内需要が9割、最近、この『星野リゾート 界 遠州』のようにテキスタイルをインテリアにも生かしています」
――手作りの生地なのでしょうか?
「機械によって織ってはいますが、まず織り地の柄が決まる“経通し”という糸を通す作業があり、ここは40センチの機に1000 本の糸を手で通していきます。ここで1本でも糸の通しが違うと異なる柄になってしまいます。この作業に1日半から2日もかかるのです」
――どんな製品を作っていますか?
「伝統的な柄に加えて、最近はテーマを決めてデザイナーに新しい柄を作ってもらっています。用途は、着物の生地はもちろん、てぬぐい、ハンカチ、風呂敷、そしてテーブルの敷物をはじめとしてインテリアにも。ここ『星野リゾート 界 遠州』では“ご当地部屋”の障子、ランプシェード、クッションなどに使って「遠州つむぎの間」を演出しています。またラウンジのソファの張り地や浴場ののれんなど、様々なインテリアにも使われています。自然な風合いを持つ、地元の織物のよさを感じてもらえればと思っています」
右:日本の縞模様いろいろ。
2015.06.14(日)
文=小野アムスデン道子
撮影=石川啓次