ロックフェスのごとき音楽祭に延べ640万人が熱狂!

 3日間にわたり、東京・丸の内にある複数の会場で開催されるコンサートの数は約350回、世界中から2000人以上のアーティストが集い、48万人を超える来場者が熱狂する――。まるでロックフェスのような大胆なクラシックの祭典が、「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭」。クラシック好きにはよく知られた、毎年恒例の一大音楽フェスティバルだ。

複数の会場で同時にコンサートが開かれるラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン。過去10回の開催で延べ640万人の観客が熱狂した。(C)三浦興一

 「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」の魅力を語る前に、まずはその背景を紹介しよう。「ラ・フォル・ジュルネ」は、1995年、フランスの北西部、ロワール地方の港町ナントで誕生したクラシック音楽祭。「ラ・フォル・ジュルネ」というのは「熱狂の日」という意味で、その名のとおり、ヨーロッパに数ある音楽祭の中で、もっともエキサイティングなイベントともいわれている。

2015年1月末にナントで開催された第21回目の「ラ・フォル・ジュルネ」も大盛況で幕を閉じた。

 複数のホールで一斉にコンサートが開催されるこの音楽祭はまさに、“冒険と発見に満ちた音楽の旅”。特徴はなんといっても、旬の若手からビッグネームまでが登壇する演奏者の幅の広さと、圧倒的な公演数の多さ、1公演につき約45分間という時間の短さ(だから、いくつも“ハシゴ”してコンサートを楽しめる)、そしてクラシック公演の常識を破るリーズナブルな入場料。参加者はプログラムの中から好きなアーティストや演目を選び、一日中、音楽に浸ることができるのだ。

メイン会場のオープンスペースでは、フリーのコンサートを何度も開催。演奏しているのは一流のアーティストなのに、雰囲気はストリートパフォーマンス。

 そんなユニークかつ斬新なコンセプトの「ラ・フォル・ジュルネ」が、世界中の音楽ファンの心を捉えないわけがない。2000年以降、ポルトガルのリスボン、スペインのビルバオ、ブラジルのリオデジャネイロ、ポーランドのワルシャワと各地で開催され、いずれも大成功を収めている。

「ラ・フォル・ジュルネ」の仕掛け人は、フランス・ナント出身のアーティスティック・ディレクター、ルネ・マルタン。従来のクラシックコンサートのイメージを根底から覆す画期的な音楽祭で世界中の音楽ファンを魅了する。

 東京で初めて「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」が開催されたのは、2005年のこと。以来、毎年ゴールデンウィークに開催され、昨年までに延べ640万人の来場者数を記録し、世界最大級の音楽祭にまで成長。金沢と新潟、びわ湖でも同時期に開催され、ファンは毎年、首を長くして、その日を待っている。

2015.04.08(水)
文・撮影=芹澤和美