クラシック・バレエの異端児として生きてきた
国内外でトップダンサーとして活躍し、映画やドラマなど幅広いジャンルで才能を発揮する西島数博が、自ら立ち上げたJ.D.I.(ジャパン・ダンス・イノベーション)の旗揚げ公演「プレミアム・ダンス・ガラ」を4月に行う。クラシック・バレエ、タップ、ジャズ、ストリート・ダンス、アルゼンチン・タンゴ、ボールルーム・ダンス、コンテンポラリー・ダンスのパフォーマーが勢ぞろいという、前代未聞のプロジェクトだ。
「今までバレエはバレエ、タップはタップ、と分かれて活動するスタイルがほとんどでしたが、ジャンルより“ダンサー”というカテゴリーで何か出来ることがあるのではないかと考えたんです。ダンサーが一丸となって何かを作るということの、最初のステップを踏み出したいと思って立ち上げた活動がJ.D.I.です。それは、バレエ界の異端児である自分がやらなきゃならないことなのかなと(笑)。僕自身はクラシック・バレエの世界の人間ですが、掟破りばかりをしてきましたから……」
クラシックと社交ダンスを教える両親の
2つのスタジオを往復して育った
伝統的なクラシック・バレエの世界にいながら、ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」でダンサー役としてソロ・ダンスを披露し人気者になり、芸能界でも活動することになった西島さん。ジャンルを超えたコラボレーションに抵抗がないのは、生まれ育った環境が影響していると語る。
「母親がバレエ教師で、父親が社交ダンスの教師だったので、両親が教えている2つのスタジオをいつも往復していました。僕自身は3歳から母親にバレエを習っていましたが、いつもミラーボールのある父親のスタジオでもタンゴやワルツを聴きながら踊っていたんです。今回の『プレミアム・ダンス・ガラ』に出演する5歳年下の弟・鉱治は父親のほうに習いましたから、うまく二つに分かれたんですが、両親は習い事の続く女の子が欲しかったらしく、実はあまり期待されていなかった(笑)。家庭環境から来ているので……物心ついてから、踊るということに関しては、クラシック音楽であろうがラテン音楽であろうが歌謡曲であろうが、同じだと思っています。僕のようなダンサーが一人くらいいてもいいんじゃないかと思っているんです」
2015.02.25(水)
取材・文=小田島久恵
撮影=杉山拓也