穀物や野菜を中心とした食事法、マクロビオティック。この連載では旬の食材を使った簡単マクロビレシピを紹介します。オールベジとは思えないしっかりしたおいしさと食べごたえは、週末のブランチや友人の集まるパーティレシピにもぴったり。ストイックになりすぎない「ゆるマクロビ」をはじめましょう。
「里芋」の味噌田楽
ねっとりとした食感が美味しい里芋を丸ごと蒸してから皮をむき、甘辛い田楽味噌をのせて仕上げるお料理です。陽性の調味料である味噌は、消化の良い植物性タンパク質がたっぷり含まれた食材です。
今回は里芋を蒸してから皮をむくことで、粘り成分のムチンを逃しません。このムチンの働きには胃粘膜の保護の他、タンパク質の消化吸収を助けてくれる効果があるので、体に優しいうえに栄養吸収にも優れた組み合わせです。
また、漢方では里芋は肝臓・腎臓に良いと言われていますのでお酒のおつまみとしてもお勧めのメニューです。寒い夜には、温かい里芋の田楽とお燗酒、なんてメニューもいいですね。
【旬の食材】里芋
「里芋」という名前は、山で採れる山芋に対し里で採れるところから来ています。原産はインド東部からインドシナ半島で、日本へは中国を経て縄文時代に渡来したと言われる、歴史ある野菜です。特有のぬめり成分はムチンと呼ばれ、粘膜を保護する働きやタンパク質の消化・吸収を高めて胃腸の働きを助ける作用があります。
マクロビ的には中国の陰陽五行説をベースに「辛み」に分類される食材で、肺炎や気管支炎などに消炎作用があるとされ、その効果を保つためにはぬめりを残して調理することがポイントとなってきます。また陰性と陽性の中間のエネルギーを持つと考えられており、合わせる調味料を陽性のものにすると体を芯から温めてくれる食材になります。
空気が乾燥して風邪の流行する季節となりました。あれ? 風邪かな?? と思ったら、ビタミン補給と温かい里芋料理で早めに風邪対策を!
2014.11.28(金)
文=中村恭子
撮影=秋元良平