ママ友とは、つかず離れずの距離感でじゅうぶん

Q. ママ友とはどのように付き合えばいい?

 川上さんがママになられたと聞き、びっくりしました☆

 私は1歳の息子がいます。今は保育園などには入れてませんが、いずれ「ママ友」の仲間入りをするんだろうな……と思うと、なんだか複雑な気持ちです。もともと友だち付き合いが得意ではなく、わりと一人でいる方が好きなので、ママ友と一緒に何かをする……といったことは少ないんじゃないかなぁ……と思っています。

 川上さんはママ友さんたちとどのようにお付き合いされていますか?(mamechan/33歳・ヴァイオリン講師)

A. 「自分の性格」に素直に行動するしかない

「ママ友」にまつわるさまざまな面倒や大変さについては、すでにたくさん情報があるせいか、育児中の人は多かれ少なかれ意識している人が多いので、みんな無意識のうちに気を遣いあってるなー、と思います。息子の保育園でママたちは、つかず離れず。会えば明るく挨拶して、ちょっと立ち話する程度の距離感を保つ。そしてそれで、じゅうぶんな感じです。

 幼稚園や小学校にあがったりするとまた事情が変わってくるのでしょうけれど、基本的に「自分の性格」に素直に行動するしかないと思います。そうしているうちに、自分のテンションに合ったママや似たようなタイプのママに出会って、無理のない付き合いができそうな気もするし……。自分にとって大事な「ママ友」になる人って、たぶん相手のことを「誰かのママ」っていちいち意識しないですむような人のことだと思うんですよね。つまり、「『ママとしての自分』とではなく、単純に、『自分』と気が合う」。子どもは子どもで人間関係を築いてゆくので、「子どものために、ママ友関係をがんばらないと!」なんて無理する必要ないと思いますよ。子どもは子ども、自分は自分、で、いいと思います。

 そういえば、わたしの母親も、わたしの友人の親御さんたちとの付き合いはゼロ、いわゆるママ友のいない母親でした。それでも、母娘ともに、とくに困ったってことはなかったですよ!


 次回も、みなさんから寄せられたさまざまなお悩みに川上さんが答えます。どうぞお楽しみに!(9月3日公開予定)

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前田こずえ

川上未映子 (かわかみ みえこ)
1976年、大阪府生まれ。2007年、初めての中編小説「わたくし率 イン 歯ー、または世界」が第137回芥川賞候補となる。同年、早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞を受賞。2008年、「乳と卵」が第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で中原中也賞を受賞。同年、長編小説『ヘヴン』を発表し、2010年、芸術選奨文部科学大臣新人賞・紫式部文学賞を受賞。2013年、詩集『水瓶』で高見順賞、短編集『愛の夢とか』で谷崎潤一郎賞を受賞。他の主な著書に『すべて真夜中の恋人たち』など。2011年に作家の阿部和重氏と結婚、12年に男児を出産した。

Column

川上未映子の出産・育児お悩み相談室

『乳と卵』で芥川賞を受賞した川上未映子さんは、2013年、同じく芥川賞作家である阿部和重さんとの間に男の子を授かりました。その経験を綴った本が、『きみは赤ちゃん』。この刊行を記念して、川上さんが、読者のみなさんの出産・育児に関する悩みにお答えします!

2014.08.14(木)