2階に上がった一同が目にした信じられない光景
部屋の真ん中に置かれた一脚の椅子。こちらに背を向けたその椅子に大人の男性が座っていたのです。
キィ。
男が自分たちに向かって振り向き始めるような、微かなゆらぎを見せたその瞬間、Aさんはとっさに声をあげました。
「ご、ごめんなさい! すみませんでした!」
突然謝ったAさんに面食らった同級生たちでしたが、矢庭に「ごめんなさい!」「すぐ帰ります!」「すみませんでした!」と口々に謝り始めました。
しかし、椅子の男は言葉を返さずゆっくりと顔を元の位置に戻すと、おもむろにポケットから大きめのビニール袋を取り出したのです。
ガサリ……。
男は、音を立ててそれを頭にかぶったのです。
理解不能な行動に皆固まっていると、静まり返った部屋に不快で異様な音がこだまし始めました。
フウッ…パソッ…ウウッ…! パソッ…! ウッ……グウゥ…!
苦しみ乱れる呼吸に合わせて男の口に張り付くビニール袋。
まるで誰かに拷問でも受けているかのように苦しむ男の不気味な後ろ姿。
不意に言いようのないおぞましい気持ちが部屋中に満ち、それが無防備な自分たちにドロリ……と覆いかぶさるような感覚を覚えた一同は、叫び声をあげるとその場から走り去りました。
後日、各々が家族にそれとなくあの空き家について聞いてみたところ、口々に『あの家は元から人が住んでいない』と言われたそうです。
