夜中に目を覚まし、耳に響いた「音」

 ウゥゥーーーン……ガコン。

 どこからともなく耳に響いてきた無骨な機械音のような物音。

 外はまだ暗く、いつも点けて寝ていたスタンドライトのぼんやりとした明かりを頼りに壁掛け時計を見ると、時間は夜中の3時ごろでした。

「もぉ……なにこの音……」

 掠れた声で呻きながら、眠気に後ろ髪を引かれたまま布団の中でぼんやり考えていると、脳裏にとあるイメージが浮かびました。

「エレベーター……」

 規則的で重厚感のあるその物音は、エレベーターを稼働させるモーター音のようなものだと考えれば合点がいきました。

「なんだよ。音響くし、普通にエレベーター動くじゃん……」

 舞い上がっていた防音性能が大したことないという落胆と、使えないと思っていたエレベーターが結局動いたという違和感。色々思うところがあったそうですが、眠りを邪魔された苛立ちが勝ったFさんはまた眠ろうと思考をシャットアウトし、布団を頭まで被りました。

 ウゥゥーーーン……ガコン。

 ポーーーン……。ガーーッ……。

 彼女の意識が再び深い夢の中に溶けていく間際、エレベーターがFさんのいる3階の1つ下の階で止まり、扉が開くような音が聞こえた気がしました。

» (後篇に続く)