「何かを始めたり、習得することは簡単なことじゃないという生々しさを知ることが大事」。そう話すのは、俳優・モデルとして活動する山本奈衣瑠だ。2022年に映画『猫は逃げた』(監督:今泉力哉)で主演に抜擢され俳優としてデビュー。以降、俳優としてのキャリアを着実に伸ばしながら、自身が編集長を務める『EA magazine』やSNSを通して、社会に対する等身大の疑問や思いを発信。その姿に、多くの人が共感し、感化され、魅了されていった。

 2024年には映画『SUPER HAPPY FOREVER』(監督:五十嵐耕平)、映画『ココでのはなし』(監督:こささりょうま)を含む5作品で主演・メインキャストを務め、『今、最もスクリーンに愛される俳優』と称されるほど、彼女の躍進に私たちは目が離せなかった。

 しかし、そんな山本はキャリアだけでなく、自分の人生を謳歌することも諦めない。2025年の4月に彼女は慣れ親しんだ場所から、イギリスへと旅立った。以前CREAではそんな彼女に、新たな場所での生活を通して何を眼差したいのか聞いたが(過去のインタビューはこちら)、今回はそんな新たな挑戦を振り返りながら、そのなかでより強くなった彼女の変わらない芯に迫っていく。

» 辛い環境下のなかだからこそ見えた、本当に必要なこと
» 毎日悲しくなって、毎日嬉しくなって。
» 簡単に成功することって、この世にほとんどない
» 自分が幸せになるということを諦めない根性


辛い環境下のなかだからこそ見えた、本当に必要なこと

ーー昨年は1年間、海外に語学留学に行かれていましたが、数多くの出演作品が続々と公開されているタイミングで留学に行こうと思った経緯を教えてください。

山本奈衣瑠さん(以下、山本) 理由は本当になくて、ただ行きたいと思っただけなんです。今後の将来のためとかでもなくて、本当に自分の人生のためにやってみたくて決めたとしか言えないんですよね(笑)。でもそんな自分を改めて見つめると、「やっぱり私は考えるよりも先に行動しちゃうんだな」って思います(笑)。

ーー事務所の方たちは驚いていませんでしたか?

山本 多少は驚いていましたけど、長く一緒にやらせてもらっている事務所だし、友達も含めて、私の性格を分かってくれている人たちからは「奈衣瑠ならしそうだよね」って言ってもらえました。

 私としては、木の幹が私自身で、枝分かれしているのが仕事やプライベートだと思っていて。この木を育てるにはすごく時間がかかるものだって理解しているからこそ、「今がキャリアにおいてすごく大事なタイミング」とは思わなかったんです。俳優って死ぬまでできる仕事だと思っているし、自分の人生をメインに考えているから、自分が興味を持ったことをただ選択した感覚なんですよね。

ーー自分という木の幹に栄養を与えるためにも、やりたいことをやるという選択が必要なのかもしれないですね。

山本 でも、イギリスに着地した瞬間から知らない世界が始まって、一言で言うと地獄でした(笑)。

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