高級住宅街として全国に知られる兵庫県芦屋市。実は、スイーツのお店が多数あり、激戦区といわれる街でもあります。たとえば、阪神芦屋駅の北側を東西に走る鳴尾御影線という道路に沿って10分も歩くと、10軒以上の洋菓子店があるという密集ぶり。道沿いだけでなくその周辺まで含めると、30店以上が点在しているでしょう。イートインできるお店や住宅街で週1日だけオープンするテイクアウト専門店もあって、お菓子好きにとってはパラダイスかもしれません。 

お値段もお手頃だから、あれもこれも食べたくなります。

 2012年4月にオープンした『パティスリー ミナチューレ』は、そんな芦屋エリアでも個性派のお菓子屋さん。阪神芦屋駅とJR芦屋駅の中間くらい、国道2号線や茶屋之町の桜並木などの広い道路から入った路地にある小さなお店です。店内のショーケースには、店名どおりの「ミニチュア=小さい」ケーキがずらり。

左:芦屋駅から徒歩約5分のお店。
右:ショーケースに小さなお菓子がずらり!
「季節のフルーツケーキ」270円。

 写真ではサイズがわかりにくいのですが、イチゴを飾ったショートケーキもシフォンケーキもみんな小さい。シュークリームもプリンも普通のケーキのサイズより小さくて、プティフールよりも大きい。でも、フランス菓子のひとつ、チョコレートとコーヒーを使った「オペラ」はきちんと層になっているし、フルーツゼリーもロールケーキも小さいけれども端正で美しい仕上がり。1円玉くらいの大きさのマカロンもあって、まるで、子供のおもちゃのよう。その見た目の愛らしいことといったら!

「ミニチュアケーキのお店というのが、経営する会社のコンセプト。小さいけれど、食べて満足感のある、しっかりと凝縮した味のケーキを作っています」と、パティシエールの川村比子さん。

 お店にケーキを買いに行っても、1個のサイズが大きいと一度に2個は食べられないし、値段もひとり分2個で1,000円程だと、特別な日だけのものになってしまう。それよりも、小さなケーキを2個、500円から600円で毎日のように食べられたら、とても幸せな気分になれるはず。ここのお菓子は、そんな「毎日、色々をちょこっと食べたい」という人にぴったりなのです。

パティシエールの川村比子(かわむらひこ)さん。

「あっさりしすぎると食べた気がしないし、味が濃厚過ぎるのもダメ。大きさと味わいのバランスがとても難しい」と川村さん。ケーキはすべて、奥の厨房でパティシエール2人がていねいに手作り。店内にはいつもほんのり甘い香りが漂っています。

 お店に並ぶ生ケーキは、毎日16種類余り。定番は、「レモンタルト」と「フルーツタルト」、チョコとピスタチオのムース「ノワール」、プリンとシュークリームです。

「シュークリームは、クッキー生地のサクサクした食感を大切にしたいから、注文があってからクリームを詰めています」と川村さんはにっこり。小さいけれど、ひとつひとつが大切に作られているのです。

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2014.07.13(日)
文・撮影=そおだよおこ