令和の米騒動となった2025年。消費者である我々が、これから考えていかなくてはならないこととは何なのか。今年7月にオープンした会員制のオンラインスーパーマーケット「Table to Farm(以外、TTF)」のイベント「新米の食べ比べ2025」を、前編の在来種米の話に続きレポートする。後編は、在来種米「亀の尾」とお米の歴史、生産者が語る自然栽培への想いについて。
※イベントは2025年11月に開催されたものです。
» 亀の尾を通じてお米の歴史を紐解く
» 本当は手間いらず? 米農家が話す自然栽培の在り方
» 新米の食べ比べ。玄米を美味しく食べる秘訣
» 未来につなげていきたい。在来種米への生産者の想い
亀の尾を通じてお米の歴史を紐解く
在来種米「亀の尾」は、明治時代に阿部亀治さんが見つけた種。当時、山形県は稲作不良だったが、亀治が熊野神社近くの田んぼで見つけた稲穂をもとに、4年かけて亀の尾を生み出した。冷害が酷かった年にも亀治の畑だけは豊作で、風害にも虫害にも強いことを証明した。昭和2年には藍綬褒章を受賞、しかし昭和後期にはほとんど作られなくなった。
「亀の尾の大きな特徴に、稲の背丈が高いことがあります。今の新しい品種は倒れにくいように改良されていて、1m弱という品種も多いなか、亀の尾は150cmにもなり、肥料を与えると倒れてしまうんです」と説明してくれた、荒生勘四郎農場の荒生さん。
戦後、日本は食糧難に陥ったことで、農業の効率化をはかるために農薬や肥料を使った大量生産型の農法が普及しはじめ、亀の尾は一気に衰退したという。
さらに荒生さんは、米の品種改良にも言及。
「稲には、芒(のぎ)っていう毛がついているんですが、これがあるとからまって手間なので、芒がなくなるように人々は品種改良を重ねてきた。品種改良っていうのは、おいしさや安全、人の健康ということを目指してなされてきたものではないんですね。粒揃いがよいとか、収量を上げることのほうが優先されてきた」(荒生さん)
中国から7世紀ごろ伝わってきた暦、二十四節気のなかでも、「芒種(ぼうしゅ)」という節気がある。6月上旬から下旬にかけて、芒のある稲や麦などの穀物を蒔く時季である、という意味だが、今の品種に芒のある米はない。芒があると、脱穀のとき機械にからまったりして手間がかかるからだ。一方で、スズメの羽根や動物の毛に芒がくっついて、遠くまで種を運ぶという実は重要な意味を持つ部分でもある。
「今日持ってきた赤米の稲もとても古い在来種で、芒もあります。むかしはこの赤米を蒸したものがお赤飯だったんですよ。今出回っている赤米は中国から伝わってきたインディカ米がほとんど。ジャポニカ米の赤米は現代では非常に貴重なものになってしまいました」(荒生さん)
