古い石階段を見上げると……
車に積んでいた小さな懐中電灯を点け、遅い足取りで石階段に近づいていく一行。
石階段の脇には、雨風にさらされボロボロになったままで放置されている、板張りの古びた家が一棟建っていました。
「こういう家ってさ、誰も住んでないのになんで解体しないんだろうなぁ」
「壊すのも高いし、壊しちゃったら壊しちゃったで、税金が高くなるからそのままにしているらしいよ」
「よく知ってんな」
「ばあちゃんの家がボロボロでさ、少し前に引っ越したんだけど、前の家をそういう理由でそのままにしてるんだよ」
「へー。でも、こういう家放置していると誰かが勝手に住んでそうで怖いよなぁ~」
「やめてよっ! もう、初詣なのに肝試しみたいな気がしてきた! というか、神社までの階段めっちゃあるじゃん……」
一瞬、Oさんは弱音を吐くMさんを励まそうと思ったそうですが、かすかな月明かりと懐中電灯の明かりだけが照らす石階段を見上げると、確かに遠目から見た以上に上へ上へと誘っているような、少し気味の悪い感覚に陥ったそうです。
