《アメリカ南部カルチャールート》痛みの歴史が歌に。ブルースの故郷を訪ね、温泉や“南部産日本酒”に出会うドライブ旅【4都市篇】

リトルロックの蒸留所で味わう個性派ウォッカ

すべての写真を見る

　翌朝はリトルロックへと移動して、町一番の酒処へ。デルタダート蒸溜所は、全米でも豊かな農業地帯の一つであるアーカンソー州デルタに位置する家族経営の蒸溜所です。経営しているウィリアムズ家は自分達で育てた穀物を使用し、個性豊かなクラフトスピリッツを製造・販売しています。

　シグネチャーは蒸留したサツマイモとトウモロコシを独自にブレンドした「スイートブレンド・ウォッカ」。角の取れた滑らかな舌触りと芳醇な香りと甘味に魅せられる一本、国内外で数々の賞を受賞しているのも納得の味わいでした。

100年以上の歴史を誇る老舗バスハウスでととのう時間

　お次はアーカンソー州の温泉街ことホットスプリングス国立公園内のバスハウス（＝温泉施設）へ。今回は1912年創業と、最も古いバスハウスの象徴的な存在であるBuckstaffを利用することに。日本で言うところのスーパー銭湯的な雰囲気で、ミネラルをたっぷり含んだ天然温泉を堪能できます。単にバスタブに浸かるのではなく、蒸気浴やマッサージも受けられるのが嬉しいところ。

　若返り効果に定評があると噂の通り、終わった後はお肌がスベスベもちもちに！

アメリカ南部初の酒蔵。ホットスプリングス生まれの一杯

　温泉で身体を温めた後は、アメリカ南部初の酒蔵として話題を呼んでいるOrigami Sakeを訪問。

　オーナーのベンさんは、たまたまワインショップで出合った日本酒に魅せられ、岩手県の酒蔵「南部美人」で２年間の修行を経験し、こちらの酒蔵を立ち上げたのだとか。

　アメリカでの酒蔵立ち上げにポテンシャルを感じた理由はホットスプリングスならではのミネラル質な水とアーカンソー州の名産であるお米。じつはアーカンソー州、全米一位のコメ産地として知られ、酒米の山田錦を作っている農家さんもいるのです。

　早速アメリカ仕込みの日本酒をテイスティングさせていただくことに。鼻を近づけると華やかな香りがふわりと広がり、グッと心が浮き立ちます。想像以上に優しい口当たりとコクのある味わいは今まで体感したことがあるようでなかった、まさしくそんな日本酒でした。