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 映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』で演じた無敵すぎる悪役・王九(ウォンガウ)で一躍注目を浴びたフィリップ・ン。スタントマンとして香港映画界入りした彼が「スペシャルな作品」と語る最新作『スタントマン 武替道』への思いを熱く語ってくれました!


想像を超えた日本のファンの反応に感謝

――昨年11月、「香港映画祭2024 Making Waves」で来日されましたね。そのときの思い出を教えてください。

 私は小さい頃からアニメなど、たくさんの日本の文化に触れてきました(この日も、ベジータの名言「動けないサイヤ人など必要ない」と書かれた「ドラゴンボール」のTシャツを着用)。だからこそ、長年の夢だった日本でインタビューを受けたり、観客のみなさんと交流することができて嬉しかったので、とてもよく覚えています!

 映画祭ではみなさんのリアクションが良くて、これまでにない気持ちになりました。そのときの上映作品(『トワイライト・ウォリアーズ』と『スタントマン 武替道』)を撮っていたときは、「香港の文化をどのように上手く表現することができるのか?」ということを中心に考えていたので、想像を超えたみなさんの反応や反響がとても感慨深く、感謝しかありません。

――『トワイライト・ウォリアーズ』は、日本でも今年1月から劇場公開され、大きな話題を呼びました。それに伴い、さまざまな香港映画を観て、香港を訪れるファンも急増しています。

 日本での公開直後から、私のSNSにメッセージを残してくださる日本人の方が一気に増えました。とてもありがたいことです。その後、香港政府のプロモーションビデオの撮影で、九龍城砦の跡地にある九龍寨城公園に行ったとき、日本から来た観光客の方と出会いました。

 私が「なぜ、ここに来たのですか?」と聞いたところ、彼女は「『トワイライト・ウォリアーズ』を観たからです」と言って泣き出してしまったんです。そのとき、ビックリすると同時に、心もほっこり温まりました。そして、何より映画の影響力の凄さを感じました。

この映画は私にとって、スペシャルな作品

――今回、フィリップさんがアクションスター・ワイ役を演じられた『スタントマン 武替道』の日本公開が決まりましたね。率直な感想は?

 とても嬉しいです! 日本の観客のみなさんが、『トワイライト・ウォリアーズ』とは別の香港映画を映画館で楽しむことができる機会を与えてくれて光栄に思います。この作品は、私のキャリアの中で、とてもスペシャルな作品と位置づけています。

 なぜなら、劇中で私が演じたのはアクションスターですが、私自身スタントマン出身であり、今なおスタントマンだった頃の気持ちを持ち続けているからです。スタントマンのみなさんが置かれている状況、仕事の大変さや辛さ。あるいは仕事がないときの生活のプレッシャーについては、私も身をもって経験しているんです。

2025.07.26(土)
文=くれい響