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「実を楽しみたい」人におすすめの盆栽3つ

◆老鴉柿

 秋になると小さな実を付ける「老鴉柿(ロウヤガキ)」。中国原産で、実が完熟して黒くなっても落ちない様子を老いた烏に見立ててその名が付いたという。

 実が羽根つきのつくばねに似ていることから「つくばね柿」の別名も。葉が大きいため、下の枝にもしっかり日光が届くよう、不要な枝葉はこまめに剪定をする。雌雄異株のため、開花時に交配させる工程が必要となる。

“鉢合わせ”のポイント

「シックなグレーの鉢を選ぶことで、緑の葉とのコントラストが気持ち良い景色が生まれました」(鈴木さん)

◆栗

 ちょっと意外なところでは、栗も盆栽として楽しむことができる。基本的な育て方は他の樹木と同様に、日当たりと風通しの良い場所に置くこと。

 水分を好むため、生育期の水やりはたっぷりと。注意点としては、自家受粉しづらいので、別の品種を用意する必要がある。

“鉢合わせ”のポイント

「瑞々しさを全面に感じさせるのは、涼しげな鉢ならではの特徴です。どんな場所で育てていこうかと考えてみたくなります」(鈴木さん)

◆紅紫檀

 その名の通り、秋頃から冬にかけて真っ赤な実を付ける「紅紫檀(ベニシタン)」。中国原産のバラ科の低木で、丈夫で寒さに強く、比較的育てやすいのが魅力。水切れに弱いため、こまめな水やりと、肥料を与えるのを忘れないで。

“鉢合わせ”のポイント

「まるで鉢から発芽して伸びてきたように感じませんか? 色味ではなく、形で遊んでみることも、鉢選びの醍醐味です」(鈴木さん)


鉢合わせの基本は「好きな植物」×「お気に入りの鉢」

 育てやすさの難易度に関わらず、自分が育ててみたいと思う植物を、お気に入りの鉢で育ててほしいと大端さん、鈴木さんは繰り返す。

「思い入れが深ければ深いほど愛着がわき、自然と水やりを気にかけたり、大切に育てようとする気持ちになるでしょう。植物が好きな人、お花を育てることが好きな人なら、きっと大丈夫。深く考えずにまずは“ノリ”で選んでみましょう!」(鈴木さん)

「室内に飾る際は、ミニチュアの民芸品や郷土玩具を添えるとレトロでかわいい印象になります。『箱庭』を作るような感覚で、オリジナルの盆栽を楽しんでください」(大端さん)

盆栽ブラザーズ

大端将さんと鈴木林太郎さんによる、盆栽の普及を目的としたユニット。2022年結成。静岡県浜松市にある盆栽&ギャラリー「頭山(あたまやま)」をプロデュースしている。

頭山

Instagram:@atamayama.bonsai

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2025.07.24(木)
文=河西みのり