「古美術」というと、床の間に飾るもの、厳重に保管するもの、と思っていませんか? 制作当時の用途とは違うけれど、食器や花器などとして、暮らしの中に取り入れて使う楽しさをご紹介します。

» 第1回 縄文土器に色鮮やかな花を生ける
» 第2回 清時代のソープディッシュを何に使う?
» 第4回 印仏と須恵器をベッドサイドに

日常使いで、時空を超えたコラボ

【tea-set】
やわらかな翳りを含んだ、伊万里の白、オランダの白

 白い器への志向は中国の殷時代まで遡る。だがそれが白磁として完成するのは、6世紀頃のこと。日本では17世紀初めに伊万里で初の国産白磁が完成。一方、オランダのデルフトでは白色の釉薬で覆った陶器が日常の器として焼かれ、フェルメールの絵の中にも登場する。

伊万里蕎麦猪口(江戸時代)各19,000円、デルフト大皿(17世紀)150,000円(共にギャラリーウチウミ)
茶托にしている皿(上・下共に) 各4,644円/ギャラリーウチウミ

橋本麻里(はしもとまり)
日本美術を主な領域とするライター、エディター。明治学院大学・立教大学非常勤講師。著書に『変り兜 戦国のCOOL DESIGN』(新潮社)ほか。共著多数。美術史や美術展の点と点を線で結び、全体像を踏まえたわかりやすいトークで、青山ブックセンターでの講座「橋本麻里から学ぶ日本美術のABC──歴史と美術の地図をつくる。」も人気。
CREA WEBではカルチャーコラム<橋本麻里の「この美術展を見逃すな!」>を連載中。

2014.06.11(水)
文=橋本麻里
撮影=三部正博
スタイリング=石黒綾
フラワーアレンジメント=関美香

CREA 2014年7月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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