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 およそ620年続いたオスマン帝国の美しき産物と言えるのはモスク、宮殿などの建築芸術。高い技術を携えた建築家によるモスク建立の舞台裏、煌びやかな宮殿の女性たちの暮らしを映すハレムのインテリアなど、壮大な歴史の足跡を感じながら名所を巡ってみたい。


ボスポラス海峡を望む開放的な西洋式のパレス

 トプカプ宮殿からバトンを受け継ぎ、1856年より6人のスルタンとカリフ(最高指導者)の住まいとなったのがドルマバフチェ宮殿。

 ボスポラス海峡に面した宮殿は3つの建物から成り、その一つが塀で囲まれているハレム。

 宮殿全体はバロック、ロココ、ネオ・クラシックといった西洋式が採用され、ハレムの内装も彩り華やかだ。祭事が行われた“青の広間”の天井は四季を表した美しい絵で覆われ、日本製の陶器が装飾品として置かれるなど、西洋とアジアの文化が見事に調和されている。

 窓からボスポラス海峡を眺めることができ、トプカプ宮殿より開放的な雰囲気が漂う。

 ハレムの隣の建物にある“儀式の間”も艶やかなシャンデリアが配された息を呑む美しさ。

 外に出れば手入れが行き届いた庭や碧き海が広がり、当時の優雅な時間が想像できるよう。

Dolmabahce Sarayi(ドルマバフチェ宮殿)

所在地 Vişnezade Mahallesi Dolmabahçe Cad.Beşiktaş İstanbul
電話番号 0212 236 9000
開館時間 9:00~17:00
定休日 月曜
料金 1,800TL
https://millisaraylar.gov.tr/Lokasyon/3/Dolmabahce-Palace

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2025.07.25(金)
文=梅崎奈津子
写真=杉山拓也
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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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