およそ620年続いたオスマン帝国の美しき産物と言えるのはモスク、宮殿などの建築芸術。高い技術を携えた建築家によるモスク建立の舞台裏、煌びやかな宮殿の女性たちの暮らしを映すハレムのインテリアなど、壮大な歴史の足跡を感じながら名所を巡ってみたい。
伝統的な建築を基盤により洗練された造りに
 
歴代スルタンの中で最年少の13歳で即位したアフメット1世の命で造られた。中央に大ドームが1つ、その周囲に中・小12のドームがある。夜のライトアップも美しいので夕暮れ時に訪れるのもいい。
ブルー・モスクとして知られるスルタンアフメット・ジャーミィは、建築家アフメット・アァにより1616年に完成した。足を踏み入れると、壮麗な青の世界が目の前に広がり圧倒される。
「スレイマニエ・ジャーミィを手がけたシナンの“オスマン建築の古典”を踏襲し、洗練させたモスクです。最大の見どころは、2万枚以上のイズニックタイルを贅沢に使った内装。スレイマニエと見比べると装飾的で優美であり、享楽的ともいえます」と、ジラルデッリ青木氏。
 
ドーム状の天井には260近くの小窓があり、やわらかな光がタイルを照らすと青の輝きが表情豊かに見える。また、モスクの格を示すミナレット(尖塔)についてもこんなエピソードがある。
「このモスクには6本のミナレットがあるのですが、それまで6本というのはイスラム教の聖地メッカのカーバ神殿だけでした。スルタンアフメットの建設中にその数が明らかになると、傲慢だと多くの批判を買ったそうです。そこで、施主であるアフメット1世がカーバ神殿のミナレットを1本増やし計7本にしたことで、ようやく騒ぎが収まったと言われています」
 
 
モスクのロケーションも考えられており、真向かいのアヤソフィアと対をなすように建てられたという。オスマン時代は、周りに住宅が建て込んでいて全貌を隅々まで見渡すことができなかった。今では芝の広場から美しいモスクの姿をゆったり愛でることができる。
 
SultanAhmet Camii(スルタン・アフメット・ジャーミィ)
所在地 Binbirdirek Mah. At MeydaniCad. No.7, Fatih, İstanbul
電話番号 0212 458 0776
開館時間 8:30~12:00、13:00~16:00、17:30~18:30 ※礼拝時間は除く
定休日 無休
 
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CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
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- 文=梅崎奈津子 
 写真=杉山拓也
 コーディネイト=松井和花
 協力=トルコ共和国大使館文化観光局
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 CREA Traveller 2025年夏号
 ※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
 
               
            
 
                    
                   
                    
                   
                    
                   
                    
                   
                    
                   
                    
                   
                    
                   
                    
                   
                    
                   
               
               
               
               
                



 
                 
                 
                 
                 
                 
                