自由なテキスタイルの組み合わせが新しい発見を生み出す

また、逆にあえて異なる時代やデザイン的に相性のよくない生地を合わせることで、新しい発見があると話すのはスザンネです。
「一見合わないと思うものでも思い切って合わせてみると、想像もしなかったほどよい感じになることもあれば、イメージしていた以上に真逆のデザインがぶつかり合うこともあります。でも、それはそれで魅力に感じられます。例えば、100年以上も前にデザインされたウィーン工房のコロマン・モーザーの生地とあえて現代の生地を合わせてみる。それは私たちにとって楽しい試みです」

そして、今回。ふたりが新作コレクションでフィーチャーしたのが上野リチことフェリーチェ・リックス=ウエノのテキスタイルデザインです。彼女はウィーン出身で、結婚前の名前はフェリーチェ・リックス。ウィーン工房を主宰していたヨーゼフ・ホフマンの建築事務所に勤務していた日本人建築家、上野伊三郎と結婚して上野リチを名乗るようになりました。結婚後は京都に移り住み、ウィーンと行き来しながら、デザインを続けました。その魅力についてヨハネスはこう話します。
「同じウィーン工房でもヨーゼフ・ホフマンやコロマン・モーザーに代表される男性のデザインは幾何学的ですが、上野リチさんの場合は自然をモチーフにした喜びに満ちたデザインが魅力です。優れたグラフィックアーティストだったと思いますし、イラストも素晴らしいですね」

今回のコレクションでは花のモチーフを中心に多彩なテキスタイルが使用されています。ヴィンテージの貴重なファブリックを使ったものもありますが、希少性などは気にせず、純粋に楽しんでほしいし、ガンガン使ってほしいと話すヨナネス。
「飾っておくのもOKですが、できれば普通に使って直接肌に触れてもらえたら嬉しいです」とスザンネも話します。
ファブリックもフォルムも愛らしいウィーナー・タイムズのクッションやピロー。テキスタイルがデザインされた時代の空気を内包しながら、すべて一点ものの圧倒的な個性と存在感がリビングの雰囲気を一変してくれます。
DEZAIN – SENSHOKU RAIFU
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2025.07.08(火)
写真・文=石川博也