桐島を演じることで、違う一面が出せた

──犯罪を犯した実在の人物である桐島という人物を演じることに対して、どのような思いがありましたか。
事件そのものに関して、そこまで詳しく知らなかったので、今回役作りのために改めて調べてみました。桐島の出身地が同じ広島だったことが分かったりもするなか、謎多き人物であるゆえの疑問点が多くて。「どこから手をつけたらいいのか?」という難しさはありました。でも、変な話、何かをなぞる必要もないので、やりがいを感じました。
──同じ桐島聡役を古舘寛治さんが桐島役を演じた映画『逃走』を意識することはありましたか?
この話をいただいたときに、「足立正生監督も同じ題材の映画を準備しているらしい」という話は聞いていましたし、『逃走』に関わっていたスタッフや俳優の知り合いもいたんです。よくよく聞いてみると、物語を描く角度が映画『「桐島です」』と大きく変わっているようでしたし、そこは考える必要はないと思いました。だから、「自分がこの脚本で何をやれるか?」という以外は、特に意識しませんでした。

──作中では、ライブシーンで河島英五さんの「時代おくれ」の弾き語りのシーンが印象的でした。
これまでギターはやってこなかったので、早めに練習できれば、と思っていたのですが、クランクインまで時間はなく、楽曲も決まってなかったので、コードだけ練習しつつ、弾き語りシーンの撮影までの2週間で集中して練習しました。デュエットに関しても、上手じゃなくても、ちゃんと聴けるものになってないとダメだなと不安に思っていましたが、試写で「あそこのシーンが良かった」と言ってもらえたので、ホッとしています。
──主演作という意味では、本作をどのように捉えられていますか?
ここまで自分の顔が前面に出たポスタービジュアルはとても感慨深いですね。今後、この作品がどれぐらいの人に観ていただけて、どれぐらいの人に受け入れてもらえるのか分からないですが、今まで見たことのないキャラクターですし、またひとつ、次のステップに上がったというか、違った一面を出せた気がします。
2025.07.04(金)
文=くれい響
写真=平松市聖
ヘア&メイク=MARI(SPIELEN)
スタイリング=カワサキ タカフミ