自分にぴったりのリゾートを探して

 ビーチクラブは海に面した木材でできたデッキが印象的です。古いボートの廃材を500隻分も使ったデッキは、どこか秘密基地のよう。大きなクッションに身を沈めて海を眺める人や、両足を外に突き出して眠る人。チルするにはぴったりです。

 ラ・ブリザから浜辺をつたって北上すると、さらに長屋スタイルのサーフ小屋というか、カフェやバーが続いています。アサイーボウルなど、ラインナップされているメニューもちょっとヘルシー。

 昼下がりの海に面したカフェ群では、景色を眺めるお客もどこかゆるりとしています。

 ビンタンビールにかけた手は力が抜け、ウェイターを呼ぶ手も気だるそう。この時は波の状態がよくなかったせいか、サーファーの華麗なライディングではなく、波が砕ける様子を見るともなく眺めている様子。会話を交わすこともなく、海を眺める人々の間を無為な時間が流れています。これはこれで、贅沢な過ごし方でしょう。

 印象的だったのが、ツーリストの多くが欧米系であったこと。アジア人は一握り。聞くところによると、イタリアやブラジル、フランス、アメリカからのツーリストが多いのだとか。

 思い返せば、バリ島の南部ビーチリゾートは10年単位くらいで新しいムーブメントが生まれているようです。

 1960年代にサヌールにバリ島で最初のリゾートエリアが誕生し、1970年代はクタやレギャンにサーファーが押し寄せ、サーフカルチャーが開花。1980年代に政府の肝いりでヌサドゥアにマスタープランのリゾートが誕生し、1990年代にジンバランにラグジュアリーリゾートが登場。

 2000年代に入ると、スミニャックに一軒家ヴィラが急増。ミニマルモダンなデザインが一大ブームになりました。さらに2010年代には島の南端のウルワツ界隈にウルトラ・ラグジュアリーリゾートが出現。

 そして、2020年代にチャングーやバトゥブロン。コモ ウマ チャングーはこのエリア初のラグジュアリーホテルで、いわばけん引役。また、オープンしたてのリージェント・バリ・チャングーに続き、来年にはアナンタラもチャングーにお目見えするとのウワサ。「チャングーは半年でいろいろ変わるよ」と地元の人談。これからますます賑わいが加速しそうです。

 もちろん、ビーチリゾートエリアごとに個性が異なるので、新しいエリアができようと同じところに通いつめるリピーターも。自分にあった場所がみつかるバリ島の南部のビーチです。

チャングー

●アクセス バリ島のングラ・ライ国際空港から車で90分。
●おすすめステイ先 コモ ウマ チャングー
https://www.comohotels.com/jp/bali/como-uma-canggu

取材協力
ガルーダ・インドネシア航空会社 https://www.garuda-indonesia.com/jp/ja
コモ ホテルズ アンド リゾーツ https://www.comohotels.com/jp

 

古関千恵子(こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●Instagram @chieko_koseki

Column

古関千恵子の世界極楽ビーチ百景

一口でビーチと言っても、タイプはさまざま。この広い世界に同じ風景は一つとして存在しないし、何と言っても地球の7割は海。つまり、その数は無尽蔵ってこと? 今まで津々浦々の海岸を訪れてきたビーチライター・古関千恵子さんが、至福のビーチを厳選してご紹介します!

2025.05.31(土)
文・撮影=古関千恵子