夏に向けて少しずつ暑さが増してくるこの時期。少しずつ寝苦しさを感じ始め、ぐっすり眠りたいのに夜中に目が覚めてしまう、朝スッキリ起きられない……そんな睡眠の悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
「快眠のためにはまくらが大切」とはよく聞くけれど、実際に自分に合ったまくらを使うことで、どれくらい睡眠の質は変わるのか? 寝苦しい夜を快適に過ごせるようになるのか?
その答えを探るべく、今回は創業450年以上の歴史を持つ老舗寝具メーカー・nishikawaが提供する快眠サポートサービス「ねむりの相談所」を体験。専門家によるコンサルティングやオーダーまくらの作成、さらに使用後の睡眠への影響までレポートします。
450年以上の歴史×最先端の睡眠科学

nishikawaは室町時代に創業し、長い伝統を大切にしながらも現代の睡眠科学を取り入れた製品開発に取り組む老舗寝具メーカー。nishikawaの研究機関「日本睡眠科学研究所」や大学の研究者などの専門家と連携し、一人ひとりの体型や寝姿勢に合わせた、機能的かつ快適な睡眠を追求しているのが特徴です。
なかでも人気を集めているのが、オーダーまくら。専用の計測器による計測や丁寧なヒアリングに加え、豊富な中材の中から素材を選べることから、自分にぴったりのまくらに出会えると評判。全国の実店舗で展開しており、利用者は年々増加しています。
また、トップアスリートの愛用者も多く、代表的なのが大谷翔平選手。10代のころからnishikawaの寝具を愛用し、現在もオーダーまくらとスリープテックブランド[エアー]のマットレスなどを使用しているそうです。

スリープマスターが睡眠の悩みに無料で対応
今回訪れたのは、昨年10月にリニューアルオープンした「日本橋西川 広尾プラザ店」。リニューアルに伴い、店舗はさらに広くなり、商品数も充実。店内には「ねむりの相談所」も新設されました。
この「ねむりの相談所」は、nishikawaの直営店や百貨店内のショップなどに設けられた専用コーナーで、睡眠科学や快眠環境などの専門知識を持つスリープマスターが、睡眠に関する相談から改善方法の提案まで無料で対応してくれるサービスです。

特徴的なのは、「睡眠環境解析サービス」と「寝室チェックシステム」という2種類の測定・解析サービスを提供しているところ。専用機器を使って睡眠状態や室内環境を測定し、そのデータを解析・可視化してくれます(計測器レンタル料は各1,100円。どちらかのみの利用も可)。
今回はこのうち、「睡眠環境解析サービス」を体験してみました。これは日中の活動量や睡眠中の状況を計測するためのもので、専用の測定機器を1~2週間ほど腰部分に装着します。

事前にこの測定機器を受け取り、数日間にわたってデータを計測。その後、広尾プラザ店内の「ねむりの相談所」を訪れ、スリープマスターの笠原雅子さんに測定結果を分析していただきました。

測定結果は日ごと・週ごとに確認でき、1日の活動量、就寝時間、睡眠時間、寝返りの回数、さらに睡眠中の体の向きまで細かく把握できます。
また、これらのデータをもとに、睡眠時間、寝つき、睡眠効率、睡眠の質、日中の活動度の5項目がレーダーチャートで点数表示され、睡眠の傾向がひと目でわかるようになっています。

計測結果を確認してみると、全体的な評価は低く、特に気になるのが睡眠効率と睡眠質。睡眠時間はじゅうぶん取れているように見えるものの、実際には夜中に何度も目を覚ましており、それが1日の活動グラフにもはっきりと表れていました。
さらに、寝返りの回数も多く、一般的には20回前後とされるところ、私の場合は多い日で59回。もともと眠りの浅さは自覚していたものの、こうして数値として示されると思っていた以上に睡眠状態が良くないことを痛感します。

この結果をふまえ、笠原さんが睡眠状態を改善するためのアドバイスをしてくれます。
「深い睡眠を取るためには、リラックスできる空間づくりが大切です。たとえば、仕事終わりに気持ちをリセットする時間や場所を設け、オンとオフのメリハリをつけるようにしてみてください。
寝る前のスマホ使用も、ブルーライトカット機能を使って光の刺激を抑えるなどの工夫をすれば、必ずしも快眠の妨げにはなるわけではありません。刺激の強いコンテンツは避け、焚き火のゆらぎや川のせせらぎといった“見流せて聞き流せる”リラックス系の動画や音を選ぶことで、自然と意識が切り替えられますよ」
2025.05.29(木)
文=佐藤由樹
写真=深野未季