ファッション性の高さに加えて、履き心地の良さに定評のあるスニーカーがニューバランスです。その理由は明確で、矯正靴からスタートしたブランドだから。1906年にアメリカ・マサチューセッツ州ボストンで生まれ、杖をついている人が履くことで新しいバランスをもたらし、杖がなくても歩けるようになることから、ニューバランスというブランド名になりました。近年では大谷翔平選手をはじめ、世界的なアスリートたちからも信頼を集める一方、特にこなれた大人カジュアルに合わせるスニーカーとしても絶大なる人気を誇ります。

 このニューバランスが毎年5月にグレーを祝う祭典「グレーデイズ」を1か月にわたり開催。関連イベントとして、展覧会「グレーアートミュージアム」が、西麻布の「ウォール オルタナティブ」にて行われています。会期は2025年5月31日(土)まで。


5人の作家によるグレーにまつわるアート作品が展示

 ここで言うグレーとは、ニューバランスを象徴するカラーのこと。かつてランニングシューズといえば、ホワイトやカラフルなカラーリングが当たり前でしたが、街中で走るランニングが流行り始めた頃、アスファルトの色であり、生活になじむ色として、当時、革新的だったグレーのランニングシューズを発売。これにちなんで、新しいことを発見したり、創造的なものである象徴としてグレーをテーマにしています。

 こうした背景を踏まえた展覧会「グレーアートミュージアム」は、アートやアーティストの可能性を拡張しているアートプロジェクト「ミートユアアート」との協働イベントです。

 会場となった「ウォール オルタナティブ」には、今回5年ぶりの発売となるニューバランスのクラフトマンシップを体現する伝説的なスニーカー「1300JP」と、5名の現代アーティストの作品がともに展示されています。

平面や立体、映像など多様な作品が会場に並ぶ

 作品はニューバランスにとってのグレーを構成する5つのキーワードを軸に制作、キュレーションされています。具体的には“マスターピース”が小笠原周、“シームレス”が金子英、“タイムレス”が品川亮、“ランニング”が津田道子、“アーバン”が長島伊織で、それぞれのキーワードを意識しながら、5名のアーティストの作品を鑑賞することで、ニューバランスのグレーについての理解をより深めることができる構成になっています。

クラフトマンシップを感じるナチュールワインが美味!

 ちなみにこの「グレーアートミュージアム」は、一般的な展覧会とは異なり、開催時間が毎日18時から24時。夕方から開催されるからこそ、会場ではスペシャルメニューが用意され、飲食も楽しめる展覧会となっています。

 提供されるのは、ニューバランスのクラフトマンシップと精神性が重なる日本の生産者による飲食メニュー。例えば、山梨県北杜市にてサスティナブルなブドウ栽培、ワイン醸造を行っているワイナリー「ドメーヌ・デ・テンゲイジ」の国産ナチュラルワインは、「グレーデイズ」オリジナル仕様のエチケット(ラベル)を纏って登場。

2025.05.23(金)
文・写真=石川博也