この記事の連載
松岡充さんインタビュー #1
松岡充さんインタビュー #2
デヴィッド・ボウイが主人公を演じた映画『地球に落ちて来た男』(1976年)の続篇として制作されたミュージカル『LAZARUS』。2015年にオフ・ブロードウェイでの初演後、チケットの高騰が話題にもなりました。そんな本作が、ついに日本初上陸します。
主役を演じるSOPHIAのボーカリスト松岡充さんにインタビュー。ボウイへの思い、本作にかける意気込みを語っていただきました。

――ミュージカル『LAZARUS』の主人公、ニュートン役のオファーを、どう感じましたか?
松岡充さん(以下、松岡) 怒られるかもしれませんが、「よくぞ、僕に声をかけてくださいました」と思いました。いろんな要素を考えた時に、今の日本で、僕以外には、誰にもこの役はできないんじゃないかと正直思っているくらいです(笑)。
実は僕、デヴィッド・ボウイに憧れてロック・スターを目指したんです。だから、いま僕がミュージシャンとして楽曲制作を行ったり、ライブパフォーマンスをする空間を生み出すことができているのは、デヴィッド・ボウイのおかげだと思っています。
そんな僕が、歌手ではなく、役者からのアプローチでデヴィッド・ボウイに関われるということは、運命的だと思いました。
――どこが「運命的」だと思われたのですか?
松岡 僕はミュージシャンとして活動を始めて今年で30年目、役者としては23年目になります。これまでは、音楽活動と俳優活動それぞれに集中できるように、絶対に同時期に重ならないよう、活動期間をきっちり区別してやってきました。
でも今回は、分けるのではなく、むしろ、音楽活動と舞台を平行してできると思ったんです。
それは、SOPHIAのヴォーカリスト・松岡充としてステージで表現していることが、『LAZARUS』の稽古でも生きるのではないかと思ったからです。同時に、『LAZARUS』のニュートンのままSOPHIAのライブでステージに立って歌ったとしてもおかしくない、と思いました。
このことに気づいた時、自分の中でずっと時期を分けてきた「ミュージシャン」と「俳優」という活動が、「松岡充」というアーティストとして集結できる――、そんな作品になるんじゃないかと思えたのです。それはまさに運命的だと感じました。
――『LAZARUS』は、2015年にニューヨークのオフ・ブロードウェイで世界初演された後、ドイツのハンブルク・ドイツ劇場などでも上演されています。日本で上演されるのは今回が初めてですよね。

松岡 はい、そうです。「もしこのミュージカルが日本上陸したら、誰がニュートンを演じるんだろう…」と考えたことがあったので、今回のお話をいただいた時に、なおさら「……ですよね〜!」と思いつつ、とてもありがたいなと思いました(笑)。
でも、実はオファーをいただくまで、舞台を観るチャンスがなくて、今回ようやく、観ることができたんです。
その映像を観てますます、デヴィッド・ボウイのファンであり、彼のいろんなファクターや世界観に影響されてきた松岡充になら確実にこの役がやれるはずだ、と自信を持つようになりました。
だから共演のみなさんにはご迷惑をおかけしてしまいますが、今回の舞台は、SOPHIA30周年の全国ライブツアーの合間に稽古をして、またライブに行って戻ってきて稽古して……、という生活を2カ月続けた後本番を迎える、という、これまでにないスタイルにも挑戦しています。
2025.05.04(日)
文=相澤洋美
写真=鈴木七絵