愛と思いやりの1時間を過ごすアクティビティ

 フィジー政府観光局がこのたび発表したのが、そんな“旅行者が未来を守る、持続可能な観光プログラム”の「ロロマ・アワー」。

 「ロロマ」とは、フィジーの言葉で「愛」「思いやり」「やさしさ」を意味する、フィジアンが大切にしている価値観です。その精神をもとに、旅行者がフィジー滞在中に、自然環境や文化、地域社会に貢献する“1時間”を過ごすことを提案するプログラムです。参加することで、もっとフィジーと深くつながれるわけです。

 思い返してみれば、私もフィジーでそうしたロロマ・アワーな体験、重ねてきました。

 ママヌザ諸島のマロロ島にある「シックス・センシズ・フィジー」でサンゴの保護活動に参加したことが。

 サンゴの欠片をロープに結びつけ、それを長いラインに連結し、水中へと沈めます。ちょうど牡蠣の養殖のような方法です。その後、ある程度育ったサンゴの欠片を、サンゴ礁に移植します。

 お手伝いの内容は、ロープにサンゴの欠片を結びつける、水中のロープに吊るしたサンゴに藻が付かないよう掃除する、サイズを測って記録、サンゴ礁への移植など。

 数年後に自分のサンゴがどのくらい育ったか、戻ってくる楽しみになりますね。また、シックス・センシズ・フィジーでは世界でもほぼフィジー諸島にしか生息しておらず、その数も12,000~14,000匹だけというタテガミフィジーイグアナを探すナイトウォークにも参加しました。

 タベウニ島の小さな村を訪問したときは、元気いっぱいの子供たちにこちらが圧倒されたほど。「フィジーのウォータースライダーだよ!」と子供たちに誘われて、一緒に川で遊びましたっけ。

 バヌアレブ島のジャン゠ミッシェル・クストー・リゾート・フィジーでは常駐の海洋生物学者と一緒にスノーケリングを楽しみ、海にまつわるレクチャーに興味津々。

 どれも私にとって、大切なロロマ・アワーです。

 今回の「ロロマ・アワー」は、リゾートを通して次の4つのテーマを軸とした40以上の持続可能なプログラムを用意しているそうです。

野生動物の保護:ガイドとの自然散策、海洋調査、絶滅危惧種の保護など
地域社会への還元:村での交流プログラム、バスケット編み、フィジアン料理クラスなど
サンゴ礁の保護:サンゴ礁の修復、植付け、フィッシュハウス作りなど
海岸線の保護:マングローブの植樹、ビーチ清掃など

 詳しくはフィジー政府観光局へ。

 思えば、リゾートでのチェックイン時に行われる歓迎の「カヴァの儀式」や、チェックアウト時にスタッフ総出で歌ってくれる“イサレイの歌”も、ロロマの精神から生まれるもてなし。愛あふれるフィジーは、これから9月までが乾季のオンシーズンです。

フィジー

●アクセス 成田からフィジーのナンディへ直行便で約9時間。週2便(往路:水・土、復路:火・金)。

古関千恵子(こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●Instagram @chieko_koseki

Column

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2025.05.03(土)
文・撮影=古関千恵子