じめじめ、じとじと、蒸し蒸し……。人間にとって不快度マックスの梅雨ですが、この時期を「待ってました!」とばかりに喜んでいるのが、“湿度80%以上+気温20~30℃”の環境下で生育しやすいといわれるカビや細菌。そこで普段の生活の中で、特に梅雨どきに不快感を覚える「キッチン」「浴室」「洗濯(洗濯機・洗濯物)」をピックアップし、そこに一体どんなカビや細菌が潜んでいるのか、またどんな風に除菌をすれば快適な暮らしができるのかを、洗剤や除菌剤などでおなじみの「花王」広報の大橋美生さんに教えていただきました。効果的な除菌で、快適&健やかに暮らしましょう。

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 梅雨どきに特に気になるのが、下痢や嘔吐、発熱などのつらい症状をもたらす食中毒。キッチンの清潔は毎日きちんと保っていたいものです。キッチンで除菌すべき場所は、「食べるところ=食卓」「作るところ=まな板」「流すところ=シンクまわり」の3つ。なかでも、台ふきん・シンクまわり・食器スポンジは細菌の多発ポイント。それぞれに適切な除菌を施して、食中毒を未然にブロック!

 まずは、不快の原因となるカビと細菌について知っておきましょう。

カビと細菌、何が違う? 

 私たちの身の回りのどこにでもいる、カビや細菌。このふたつは何が違うのでしょうか?

「一度カビが生えると“カビの子ども”とも言える胞子が、空中やさまざまなものに付着して存在します。この胞子は目に見えませんが、生育に適する条件が揃うと発芽して成長し、私たちはそこではじめてカビとして認識できるんです」(大橋さん)。

 一方の細菌はというと、小さなひとつの細胞からなる原核生物(核を持たない原始的な生物)で、その種類は様々。もちろん肉眼では見えません。なかでも食中毒の原因になり得る大腸菌はキッチンまわりで多く検出され、菌が多い順に、排水口のごみ入れ、食器用スポンジ、シンク、洗いおけ、台ふきんというデータもあるのだそう(花王調べ)。

 カビと細菌はまったく別のもの。とはいえカビは発生するまで気付かず、細菌も知らない間に付着してしまうというように、どちらも「目に見えない」というのがやっかいなのです。

目に見えない細菌が
手や道具を介してキッチン中に広がる

「多くのカビは湿度80%以上、気温20~30℃になると、糖やタンパク質、油をはじめ、様々なものを栄養として育ちはじめます。胞子の色によって青や黒や赤色のカビとして目に見えるようになるのです。細菌も、栄養・温度・水分など環境が整うと短時間で分裂を繰り返し、どんどん増えていきます。その数が多くなると、不快臭や濁り、ヌメリなどを感じるように」(大橋さん)。

 キッチンで見られるカビといえば、柑橘類の皮や古くなったパン、餅などに付く青カビや黒カビがおなじみ。また、植物や木材、ほこりや皮脂・アカなどの汚れ、繊維や塗料などでも見られ、キッチンまわりの黒色の汚れや黒ずみもカビの一種なのだそう。もちろん、細菌にも注意が必要です。「意識しておきたいのは、目に見えない細菌が手や道具を介してキッチン中に広がり、食中毒の原因となる可能性があること。マメな手洗いはもちろん、“菌を広げやすい道具”を衛生的に保つことも食中毒を防ぐために大切です」(大橋さん)。

 では、食中毒を防止するためにはどんなことに気を付ければいいのでしょうか。次ページでは、「食べるところ=食卓」「作るところ=まな板」「流すところ=シンクまわり」の、細菌が多発する3大ポイント別に効果的な除菌のコツをご紹介します。

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2014.06.05(木)
文=オカザキエミコ(六識)
写真=kazoka / Shutterstock.com