Netflix映画『新幹線大爆破』で、爆弾の恐怖から乗客を守ろうと奮闘する車掌の高市を演じる草彅剛。尊敬する高倉健の想いを引き継いで演じているという前回に続いて、今回の共演者との関係や、大人の自分を崩壊させる“ある悩み”について語ってくれた。
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「今度YouTubeに出てね」って言ったけど連絡先を交換してないんだよね

――草彅さんが今回の『新幹線大爆破』で一番好きなところはどこですか?
草彅 さいごの夕日かな。新幹線指令所にいる斎藤工君の時間軸と、新幹線側の僕らの時間軸が同じっていうのを象徴してる感じがして。一緒にいないんだけど、同じ空の下で繋がっている。映画を観て「斎藤工君の役をやりたかった!」と思ったね。あれはもう映画史に残る夕日だと思う。
実は斎藤工君とは今回は実際に同じシーンでは共演していないの。『碁盤斬り』では斎藤工君は敵役で、もう毎日毎日憎んで、「ふざけんじゃねえ」って思っていたんだけど、今回は工君が愛おしくて、愛おしくて。だから役者って面白いよね。作品によって役によって全然立場が変わって、愛おしくもなるし憎らしくもなるし。面白い仕事だなって思いました。

――のんさんが新幹線の運転士役です。昭和版では千葉真一さんが運転士だったことを考えるとまさに令和という気がしますが、のんさんと初共演した感想を教えてください。
草彅 実際女性の運転士の方もいるそうで、ほんとにすごくいいキャスティングだなと思います。僕、のんちゃんのYouTubeをよく見ているんですよ。のんちゃんはギターが上手くて、僕と同じく斉藤和義さんが好きなんですよ。そういう話でずっと盛り上がってました。
「今度、僕のYouTubeに出てね」って言ったんだけど、連絡先を交換してないんだよね。僕は撮影所で大好きなギターの話ができたんで、とてもリラックスできました。なんというか、ギターでセッションしているみたいな感じのノリがあって。そういう何気ない会話のおかげで、僕が演じる高市とのんちゃん演じる松本の絆も深められた気がしますね。先輩と後輩という感じが深まったと思う。

――後輩といえば、新人車掌の藤井役を細田佳央太さんが演じていますね。
草彅 藤井(細田)と松本(のん)という若い2人と一緒に高市は新幹線に乗っているんです。だから細田君のことを支えていくような感じがあったというか、彼がいてくれたおかげで僕もベテラン車掌らしく見えたところがある。細田君自身も藤井と同様にとてもエネルギーとパワーを持っているから、役者さんとしてとてもストレートに力を出してくるんです。だから僕も調子づいて出来たというか。爆弾が仕掛けられて、彼がそこにいたから、僕も「おおおおっ!」(映画同様のど迫力の表情)ってなれたんですよ。

――東北新幹線の車掌である高市を演じる上で、どんなことを意識していたんでしょうか?
草彅 最初にJR東日本さんがみっちり3時間ぐらい講義をしてくれたんです。新幹線の車両の種類とか、乗務員としてのお客様に対するマナーだとか、身なりの整え方とか。最初はお話に集中するのが大変でした。
でもJR東日本が新幹線の撮影に特別協力してくれるのが今回初めてのことなので、JRの方のお話がだんだん熱を帯びてきて。僕も一生懸命聞きました。職員の方が、お客様を目的地までしっかり送り届けることが大切という、その気持ちみたいなのをすごく語ってくださって、それがとても印象に残ってます。それが演じるときになってどんどん響いてきて、役作りができたのかなと思いますね。
2025.04.20(日)
文=石津文子
撮影=深野未季
スタイリスト=栗田泰臣
ヘアメイク=荒川英亮