よりリラックスした状態で作品に挑めるように

――2023年にCREA WEBでインタビューさせていただいたときに、「倉 悠貴と言えば、これだよね! と言ってもらえる武器がほしい」とおっしゃっていました。その“武器”は見つかりましたか?
倉 どうだろう……。ただ、苦手な役、得意な役というのは、少しずつ自分でもわかってきたような気がします。
また、以前は、満足できない演技を残した自分が許せなかったのですが、最近は自分のメンタリティが少し変わってきて、「まあいいか」と、許せるようになってきました。
確かに作品は一生残り続けるものです。でも、僕の俳優人生も少しずつ増えて、「歴史」となっていくので、「昔はできなかったけど、できるようになってきたよね」と、進化していけばいいのではないかと思えるようになりました。
そう考えられるようになったことで、気持ちが軽くなったというか、よりリラックスした状態で作品に挑めるようになったので、それは“武器”のひとつというか、ある意味成長した部分ではないかと自分では思っています。

――今年は、俳優デビューして6年目になります。着実にステップアップなさっているように見えますが、役を掴み取るために、どのような努力や工夫をされているのでしょうか。
倉 おかげさまで、デビューしたときに「こういう作品に出たい」と憧れていたような作品にもたくさん参加させていただけるようになってきました。
でも、自分としては、与えられた役にちゃんと向き合うとか、中途半端な状態で現場に行かないとか、当たり前のことを当たり前にやっているだけ、という意識しかありません。大したことはやっていないと思います。
有名な俳優さんと共演する機会も多くいただいていますが、みなさん謙虚で腰が低く、真摯に演技に向き合っておられる方ばかりです。僕もそんな方たちのように、どこまでも謙虚に作品に粛々と向き合っていきたいと、その思いだけはいつも忘れないようにしています。
2025.03.19(水)
文=相澤洋美
写真=志水 隆
メイク=NOBUKIYO
スタイリスト=伊藤省吾 (sitor)