──内田監督としても「この人なら良城を魅力的に演じてくれる」と、確信的に三山さんを指名したのでしょうね。
三山 キャスティングの意図について監督と具体的に話し合ったことはありませんが、汲み取る努力はしました。良城のような「陰」のキャラクターを、いかにもそれっぽい人が演じても、ある意味で予定調和じゃないですか。そうではなく、僕のような真逆のイメージをもつ役者が良城になろうとして、現場で良城として振る舞ったときに偶発的に生まれるプラスアルファのようなものを、監督は期待してるんじゃないか。そんなことを考えて準備しましたね。

腹をくくって挑んでいた!?
──身体の線もふだんより細いように感じました。役づくりで体重を絞ったのでは?
三山 じつはオファーをいただいてからクランクインまでの期間が短くて、体型の調整が間に合わなかったんです。これは雰囲気で見せるしかないと腹をくくり、「自分は線の細い文化系男子」だと念じながら演じました。それでも身体が目立ってしまうシーンの撮影では「筋肉が隆起しないように、なるべく力を抜いて!」と監督から指導が入りました。
──めちゃくちゃ仕上がった身体なのに、筋肉は見せられない。むずかしいですね。
三山 でも、結果的に細く見えたのなら良かったです。がんばって雰囲気を醸した甲斐がありました(笑)。
──そんな裏話を知ると、より映画が楽しめそうです。
三山 基本的には美しいラブストーリーですが、良城を演じた身としては、パートナーシップの矛盾が解消されないなど、モヤモヤが残る部分もありました。あえてそんな描き方をすることで、よりリアルで繊細な物語に仕上がっているな、とも。見る人の価値観によって印象が変わる作品だと思うので、どう感じるのか、ぜひ劇場で確かめてほしいです。
撮影 深野未季/文藝春秋
スタイリング 髙田勇人
ヘアメイク 西村裕司
衣装協力:エムエーエスユー、ユリウス
みやま・りょうき 1999年、愛知県生まれ。10代の頃から俳優として活動するほか、近年はダンス&ボーカルグループ「BE:FIRST」のメンバー・RYOKIとしても活躍。おもな出演作に、ドラマ「往生際の意味を知れ!」(23年/MBS)、「生理のおじさんとその娘」(23年/NHK)、「虎に翼」(24年/NHK)、映画『HiGH&LOW THE WORST X』(22年)などがある。
INTRODUCTION
新堂冬樹の同名小説を、BE:FIRSTのメンバー三山凌輝と、乃木坂46・久保史緒里のダブル主演で実写映画化。監督は、『ミッドナイトスワン』(20年)、『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(23年)など多くの話題作を手がけてきた内田英治。2PMのメンバーで韓国ドラマ作品に数多く出演するファン・チャンソン、エミー賞/作品賞の「SHOGUN 将軍」にも出演している穂志もえかなど、豪華キャストが脇を固める。BE:FIRSTの書下ろし主題歌「誰よりも」にも注目。
STORY
鎌倉の海沿いの街で同棲する、絵本作家の水島良城(三山凌輝)と書店員の桐本月菜(久保史緒里)。学生時代から大事に思い合ってきた。しかし強迫性障害による潔癖症を患っている良城は、恋人の月菜と手をつなぐことすらできない。ようやく治療を決意した良城は、合同カウンセリングで同じ症状を抱える女性・村山千春(穂志もえか)に出会う。一方、月菜の前には恋人と触れ合っても心が動かない男・イ・ジェホン(ファン・チャンソン)が現れる。愛する人と触れ合うことがままならない者たちの関係が交錯していく──。
STAFF & CAST
監督:内田英治/脚本:イ・ナウォン/出演:三山凌輝、久保史緒里(乃木坂46)、ファン・チャンソン(2PM)、穂志もえか、永田凜、北村有起哉、北島岬、竹下優名、酒向芳/2025年/日本/124分/配給:アークエンタテインメント/©2025「誰よりもつよく抱きしめて」HIAN/アークエンタテインメント

2025.03.01(土)
文=岸良ゆか