3月 オーベルジュほまち 三國湊(福井県坂井市)

https://www.homachi.jp/

 北前船交易で栄えた港町、福井・三國湊。当時の歴史が残るレトロな街並みに、分散型町家泊オーベルジュが北陸新幹線延伸のタイミングとも重なって開業。多様なスタイルのリノベ町家があり選ぶのに迷ってしまいそうだ。

 分散型町家泊オーベルジュということで、ディナーはフレンチのスターシェフ・吉野建氏がプロデュースするタテルヨシノ 三國湊という豪華版。そのビジュアルから意表を突かれた冷製ボルシチ、越前蟹にはじまり、甘海老・キャビア、吉野シェフのスペシャリテ、縮緬キャベツ・フォアグラ・トリュフ、甘海老・雲丹、若狭牛・蛤と、福井の新鮮な食材を存分に満喫するコースだ。旨みの閉じ込められ方、コース全体でひとつの絵になるような記憶に刻まれる感覚、いずれも個人的には近年稀にみる体験だった。

4月 HOTEL MAZARIUM(岩手県盛岡市)

https://hotelmazarium.com

 盛岡バスセンターに併設する新しいホテル。ホテル名の“マザリウム”は、“まざる、うむ、はじまりのホテル”という思いが込められている。かなり尖ったホテルで、ジャズとアートに浸れる宿としても人気を博している。

 福祉実験ユニット・ヘラルボニーがアートプロデュースする初の常設ホテルでもあり、知的障がいのある8人の作家がアートルームを手がけた。また、ジャズピアニスト・穐吉敏子のミュージアムも併設し、ラウンジやカフェでジャズに浸れる独特の空間。客室はサウナ付きなどもあり、市街地にしてはバラエティに富む。

2025.02.26(水)
文=瀧澤信秋