村山由佳さんの最新刊『PRIZE―プライズ―』が2025年1月8日(水)に発売となりました。「そこまで書いちゃっていいの?!」と話題沸騰中の本作を、現場の書店員はどのように受け取ったのか。寄せられたご感想を紹介します。(全4回のうちの1回目)
とにかく面白い、夢中で読みました。
テーマがテーマだけに書店員としても一読者としても興味があった。珍しく賞の名前や雑誌の名前がそのままでどこまで描かれているのか、どこまでが実際あったのか興味が尽きないです。天羽カインの作家としての矜持を見た気がします。
宮脇書店ゆめモール下関店 吉井めぐみさん
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読み始めてすぐ、「これってある意味ホラー(怖)」と震え始める。怖いぞ、これはすごく怖いぞ。
誰もが知っている直木賞だけれど、その発表までのあれこれをこれほど詳しく赤裸々に語られたのは初めてではないか。「小説」に魅せられそこにからめとられた人々の危うさと「賞」が人に与えるナニモノかを描く。
精文館書店中島新町店 久田かおりさん
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中盤までは作中にも出てきた太宰治の「駆け込み訴え」を連想しつつ、本を売る側の一人として千紘に感情移入しながら読んでいましたが……後半からが一気に怖い!
ちょっと危うく見えるけれど、女性作家と女性編集者が絆を深めて成り上がっていくんだろうなという当初の予想をまんまと裏切られました。
本を作る側・賞を決める側の事情も知れて興味深かったです。
くまざわ書店長岡店 神田麻衣さん
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「賞」に魅了され、鬼気迫るほどに渇望していく、一人の女性作家。その姿に、人間の承認欲求や自尊感情が満たされる事で得られる興奮が、肌に熱を帯びて伝わってくるようでした。それは、誰にでもきっとある、自分の価値や存在意義を感じたいという願望。その想いが、溢れ出していく激情に、心を揺さぶられました。本書は、人間だからこそ芽生える、感情の本質に迫った傑作だと思います。
もう、物語に呑み込まれていくとは、まさにこの事。
紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん
2025.02.04(火)