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生理用品広告で登場する経血の色を青色ではなく赤色に

――そのような変化が徐々に起こるなかで、「ムーンパンツ」としてもさまざまな挑戦があったと思います。

 生理には常にタブーなこと、ネガティブなことがつきまといます。「ムーンパンツ」は、生理は敵ではなく、ちょっとめんどうくさいけど慣れ親しんだ友人のような存在にしたいと考えています。例えば、広告などで経血を表現する際、これまで青色が使われていました。それは、知らず知らずのうちに経血だけではなく、生理に対しても、ネガティブな印象を与えることにつながっていると思います。

台湾でのムーンパンツのCM。

 そこで、「ムーンパンツ」では、2018年の誕生以来、本当の色である赤色を使って表現しています。私たちがその一歩を踏み出したことで、生理用品広告では本当の経血の色である赤色がデフォルトカラーになりました。

 そして、これまではあまり描かれてこなかった生理のやっかいな側面もポジティブな姿勢で表現してきました。例えば、ボクサータイプの「ムーンパンツ」のプロモーションCMでは、ヘビメタ風のデスボイスを用いて生理に立ち向かうパワフルなヒロインを描きました。生理に関して、ごまかしたり、隠したりするのではなく、ありのままを描くことは先入観を打ち破るきっかけのひとつになったと思います。

――生理に関わる仕事をはじめて、社会が変わってきたという実感はありますか?

 少しずつ変化してきていると感じています。私たちの次のステップとしては、エデュケーションに力を入れていきたいと考えています。学校でも生理の教育が始まっていますが、私たちは生理の絵本を作り、全国の学校に配布する活動も行いました。そして、「ムーンパンツ」が主催するイベント「Period Party」も定期開催していきたいと考えています。

 “毎月の生理を楽しく過ごすこと”は、「ムーンパンツ」のブランド理念です。日常の中で生理の知識を身につけられるようになったり、心地がいい生理用品を使っていくと、生理は楽しくなっていくと信じています。

ユアンイー

生理用吸水ショーツ『ムーンパンツ』共同創設者であり、デザイナー。工業デザイン出身。グッドデザイン賞(日本)、iFデザイン賞(ドイツ)と、世界的なデザイン賞を受賞しています。月経カップ『フルムーンガール』のデザイナーでもある。

生理を、仕事にする。台湾の生理を変えた女性起業家たち

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2025.01.31(金)
文=木川誠子