小田部 ある意味、われわれ平民と皇室がつながってしまったというのがショックだったのでしょうね。美智子さまを境にいくら自由恋愛的な風潮になってきたとはいえ、本当の“自由”ではありません。相手のご家庭が調査されたり、皇族のお知り合いだったり、家柄は保証されていましたから。

 林 正田家なんて文化勲章受章者も出していて、お家柄も非の打ちどころがありませんものね。

 小田部 爵位こそありませんが戦前から代々の実業家で、戦後は財産を失った旧華族などよりよっぽどお金持ちだったと思いますし、上流の家柄であったことは間違いない。もはや平民ではありません。僕なんか、美智子さまの子どものときの映像が残っていることに驚きましたよ。

 林 ブランコかなにかに乗っていらっしゃる。

 小田部 そうそう。あの時代、ふつうの家庭にはビデオなんてありませんからね。一部の上流階級の家庭でないと持っていませんよ。

 林 それから、マントルピースの前で写した正田家の有名な記念写真がありますね。あれなんてもう華族を通り越して皇族といってもいいくらいの気品と貫禄があります。

 小田部 確かにそうですね。結婚は「両性の合意のみに基いて成立し」とたしかに憲法には書いてあります。とはいえ両家あってのものだから、家柄の問題は捨てきれない。皇室は特にその意味合いが強いのに、自由、自由と言われるうちにそこがすっぽり抜け落ちて、どこか欠けた結婚観が広まってしまったと思うんです。美智子さまの場合は一平民が皇室に入ったのではなく、それなりの社会的地位と資産を持つ家の令嬢が入られた。そこはやはり格差婚とはちがうということをわかっていなければいけませんね。

 

横断歩道でプロポーズ

 林 圭くんの場合、そもそもICU(国際基督教大学)というのがすべての原因なんじゃないかな。

 小田部 というのは?

 林 よくママ友とも話すんですが、インターナショナルスクールからICUなんて一番お金がかかるコースじゃないですか。400万円の借金が問題になっていますけど、経済的に余裕がないなら普通の公立高校から国立大学に行かせればいいんじゃないの、と。ちょっと背伸びしすぎている印象です。

2024.12.15(日)
文=林真理子、小田部雄次