きみさんはお元気かと聞くと、隣でたまたま食べていたオジサンが2軒となりの「立ち飲み処きみちゃん1号店」の常連で、近況を教えてくれた。それによると、少し前まで再入院されていたけど、つい最近退院したという。
登場した「冷しきつねそば」のつゆをまたひとくち。こちらはやや濃いめのつゆである。そばは茹でたてでキリッとして細めのそばのコシがすばらしい。どんぶりいっぱいにのったきつねも甘辛く炊いてあり和食の余韻が広がる。つるつると心地よいそばを啜りつゆを飲む。きつねをかじってまたつゆを飲む。
三上店主からのご挨拶
食べているとどんどんお客さんが入ってくる。自転車に乗ってやってきた近所のオジサン。すでに5回は来たという若者2人など。なんとなく活気があっていい雰囲気だ。店主の挨拶もキビキビしていて清々しい。
最後に三上店主から、お客さんへ挨拶をいただいた。
「『立ちそばにはち』は和食の経験が長い私が自家製麺のそば屋をやりたいと一念発起して始めた店です。街中の小さな日常食を提供する食堂のような店をやりたくて始めました。温かいそばも冷たいそばも自家製です。セットメニューやお弁当もやっています。平和島は良いところです。狭い店ですが、是非お越しください。そしてきみさんのお店にも是非どうぞ」
自分の記事がきみさんの「つばめ屋」から三上店主の「立ちそばにはち」へと継承することに役立ったことは大変に感慨深い。
そして、三上店主がきみさんの心意気を理解して自分の味を届けていることも人情味が感じられる。この場所で末長く続けて欲しいと思う。今度は「もりそば」か「肉そば」を食べに来ようと思う。
きみさんのパワーは健在だった
三上店主に挨拶して店を出ると午後2時半。確か2軒隣の「立ち飲み処きみちゃん1号店」がオープンしているはずだ。突撃して美人のママにきみさんのことを確認しようとその旨を伝えると、常連の好青年がきみさんに電話をかけてくれて、話をすることができた。
退院直後で弱々しい声かと心配したが、そんなのは杞憂だった。
「あんた何してたのよ! 全然店に来ないじゃない。アタシは元気だから、はよ顔出しなさいよ!」またまたマシンガントークでけしかけられて店中から爆笑を喰らってしまった。
2024.12.03(火)
文=坂崎仁紀