そして、箱根駅伝を応援してくださる方の熱は、これだけスポーツや娯楽のコンテンツが多様化している中でも相変わらず高くて、毎年、有難いことに本当にたくさんの方々が番組を応援してくださっています。輝かしい青春時代の全てを陸上に注ぎ、壮大で過酷な箱根路に果敢に挑む、けれん味のない選手たちです。心清らかに迎えたい日本のお正月に家族が集まって、感情移入しながら純粋に選手みんなを応援したい。そんな気持ちにさせてくれるのが箱根駅伝の魅力かなと思います。
1秒差で本大会出場を勝ち取った順天堂大学と優勝候補
――最後に町田アナウンサーの考える、第101回箱根駅伝(2025年)の見どころを教えていただけますでしょうか。
町田 まずは予選会1秒差で本大会出場を勝ち取った順天堂大学ですね。2006年の国士舘大学と拓殖大学も1秒差で明暗が分かれました。それ以来、史上2度目の僅差です。順天堂大学は、たった1秒差で本大会出場を逃した東京農業大学の悔しさはもちろん、予選会で涙を飲んだすべてのチームの思いを背負って走ってくれるような気がしますし、元祖・山の神と呼ばれた今井正人さんがコーチに就任されていることにも注目です。
優勝候補でいえば、出雲大学駅伝、全日本大学駅伝を制した國學院大學は、初優勝を狙えますよね。エースで主将の平林(清澄)選手は、今年の大阪マラソンで、初マラソン日本最高記録かつ学生日本新記録となる2時間6分18秒というタイムを叩きだしました。この記録は、駒澤大学の藤田(敦史)監督が、2000年にマークした当時の日本最高記録2時間6分51秒を上回っています。
そもそも、國學院大學の前田(康弘)監督は出身が駒澤大学で、藤田監督の1学年下、実業団の富士通でも同じチームでした。「大学でも実業団でも一度も勝てなかった藤田さんは、僕(前田監督)にとって倒さなければいけないラスボスです」と言うように、指揮官同士の戦いでもあるんですね。大八木(弘明)監督から駒澤を引き継いだ藤田監督も前回大会のリベンジに向け、負けるわけにはいきません。
2連覇のかかる青山学院大学も、箱根駅伝に向けたピーキングは抜群にうまいですし、素晴らしい1年生も入ってきて選手層の厚いチームです。どんな結果になるにせよ、その主役の選手たちの姿、筋書きのないドラマを、中継スタッフ一丸となって今年もしっかり伝えていきます。
町田浩徳(まちだ・ひろのり)
1973年新潟県生まれ。早稲田大学人間科学部を経て98年日本テレビ入社。多くのスポーツ中継に携わり、現在は「Oha!4 NEWS LIVE」(水曜)に出演、「DayDay.」(金曜)や「ライターズ!」のナレーターも務めながら、野球・MotoGP・ラグビーなどの実況を担当
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2024.11.23(土)
文=町田浩徳