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 自身の両親の認知症介護を描いた大ヒットドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』の監督、信友直子さんの新刊『あの世でも仲良う暮らそうや 104歳になる父がくれた人生のヒント』が好評発売中。

 先日11月1日に104歳を迎えた直子さんの父・良則さんは、なんと98歳の時に筋トレを始めたそう。100歳を超えてもなぜ健康でいられるのか? その答えは、良則さんのある“心意気”の中にありました。

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98歳でトレーニングを開始

 103歳にして、ますます意気軒高な父。その健康長寿の秘訣を、他にも思いつくままにあげてみましょう。

 まずは、よく食べるのはもちろん、よく運動すること。

 父は今も週に1度、近所のクリニックのリハビリフロアでマシントレーニングをしています。エアロバイクを漕いだり、プーリーという上半身を伸ばしながら鍛える運動をやったり。

 もともとは「筋力をつけて、脳梗塞の母が家に帰って来た時に支える」ことを目標に、98歳で始めたトレーニング。これが母亡き後もまだ続いているんです。なぜかというと、リハビリフロアのスタッフや周りのお年寄りたちから、

「お父さん、すごいねえ」

 と、感心や羨望のまなざしで見てもらえるから。言葉を換えれば、みなさんにおだてられて、調子に乗って今も続いているわけです。

頑張る姿がお年寄りたちを刺激?

 たとえばエアロバイクなら、父は10段階のうち5の負荷で5分間漕ぐのですが、その勇姿(?)に周囲のお年寄りたちはざわつきます。

「わしもこういうふうに年をとりたいもんじゃ。ちいと元気を分けてもらおうかの」

 そう言って父に握手を求め、「ご利益もろうたわ」と喜色満面の人もいて、父の人気ぶりには驚かされます。他にも、

「103歳のお父さんがこうに頑張りよってのに、私なんかが年じゃ言われんわ。見習わんといけん」

 と張り切る70代、80代の方も多く、なんだかクリニック全体が活気づいてきたようです。他のお年寄りが父に触発されて頑張る姿を見ると、父も他人様のお役に立っているんだなあ、と嬉しくなります。

2024.11.10(日)
文・写真=信友直子