なおポイントは、たとえば最初に10分と決めておいたなら、そのリミットをきっちり守ることです。10分経ったときにちょうど本がクライマックスに差しかかっていて、「もっと読み続けたい」と感じたとしても、そこできっぱりやめてみましょう。理由は簡単で、そうすれば必然的に「早く続きを読みたい」という思いが強まるからです。

 すると、そんな気持ちが次の読書へとつながっていき、出勤途中の電車内とか、昼食後のお昼休みなどの時間を利用して読もうという気になれます。いや、「読みたい」と気になってしまうのです。そこでその感情を、読書の習慣化に向けて利用するわけです。

 その際にも「電車が駅に着くまで」とか「始業時刻まで」など、読書を終えるタイミングを設定しておけば、それがまた次の読書時間へと引き継がれていくことになります。「次は帰りの電車で」「その次は夕食後」「一日の終わりにはベッドで」「翌朝はまた起床直後読書」という具合に。

 そうすれば無理なく、しかも読みかけの本に対する期待感を維持したまま、読書欲を継続していけるはず。また、読み終えたら、その思いは「今度はどんな本を読もうかな」と、次の本への好奇心につながっていくことでしょう。

 そうやってサイクルをつくっていけば、無理なく、そしてプロセスを楽しみながら読書習慣を身につけることができるということです。

 

読書を習慣化させる“寸止め読書”とは

「時間がきたらきっぱりやめる」という方法について、もう少しだけ補足しておきましょう。

 便宜的に「寸止め読書」と呼んでおきますが(これもまたセンスのないネーミングですね)、これは読書を習慣化するにあたって重要なポイントになります。

 それは、あらかじめ決めておいた時間で一度きっぱりとやめることによって、盛り上がりつつあった読書熱を意図的に冷ますということ。

 冷めてしまっては意味がないと思われそうですが、熱中して読んでいたのであればなおさら、それは理不尽な終わり方だということになります。読み続けたいのだったら読めばいいのですから、当然の話ですよね。

2024.10.23(水)
著者=印南敦史