「行動を真似される」と「服装や持ち物を真似される」の違いよりも、相手に気づかれずに真似するか、気づかれてしまうかで、結果が大きく違ってくるのです。お隣さんは真似していることをあなたに気づかれてしまった時点で、残念ながらコミュニケーションとしては失敗に終わってしまっています。本当はただ仲よくなりたかっただけなのかもしれませんが。

お隣さんには真似できないようなことをする

 解決法となるとちょっと考えてしまいます。なぜなら、自分の行動を制御することですら大変なのに、他人の行動を制御するのはほぼ不可能だからです。お隣さんの行動をコントロールして、こちらの真似をされないようにする、というのは、自分のこと以外にお隣さんの意思決定もこちらが面倒を見続けるということでもあり、それが可能だとしても、脳は少なくとも倍の出力をしなければならないでしょうから大変しんどいことになります。

 可能な解決策として想定できるものとしては、あなたが、お隣さんには真似できないようなこと、あるいは真似したくないことをするしかないのではないでしょうか。でも、そんな理由で服装や持ち物をお隣さんがなかなか手が出せないであろうハイブランドにしたり、自分の趣味に合わないものにしたりするなんて癪ですよね。

 

 ただ、あなたの真似をするというのは、あなたへの好意の表れではあるのでしょう。お隣さんはあなたをお手本にまずは形から入ることによって、何か得られるものがあるのではないかという期待を持っているのかもしれません。あなたは「ファッションリーダー」として、毎日ご自分のスタイリングを見せてさしあげるようなつもりでいらしたらいいと思います。

 本当にそんな人いるのかと思うのですが、実は中野の真似(といってよいのかどうかもわかりませんが)をしている方もおいでになるようで、もちろんお会いしたこともありませんし、おそらくこれからも会うことはないかとも思うのですが、それでも私が何気なく選んでしまう言葉やスタイルを、懸命に分析して真似なさっているのかと思うと、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになり、プレッシャーにも感じます。

2024.10.01(火)
文=中野信子