つづ井さんってどういう人なんだろう?

――藤間さんは今回、つづ井さんを演じるにあたり、どのようなアプローチをしましたか?

 やっぱりドラマといえど原作がある、しかもマンガという絵のあるものなので、脚本を読みながらも自ずとマンガの絵が思い浮かんでくるんです。だから、まずは原作コミックを副読本にイメトレしました。

 ただ、つづ井さんって自分のことをマンガに描いてはいるんですが、決して自分中心主義ではない。むしろ、みんなのことをしっかり見て、丁寧に描いている。だから、みんなのキャラはすごく濃いんですが(笑)、実は自分のことはそれほど細かくは描いていなくて。最初の頃は、つづ井さんってどういう人なんだろう?と、自分の中でつづ井さん像をつくり出すのに苦戦しました。

――確かに、つづ井さんは推しについては語るけど、自分語りはしない。

 つづ井さんは推しへの愛もみんなで共有して盛り上がりたい人だし、なによりみんなのことが大好きで、みんなといる時間を誰よりも噛み締めている人だよな……というところに行き着いて。変にキャラクターを作るようなことはせず、まず、私自身が現場でみんなと過ごす時間を楽しもう。そう思って撮影を重ねていくうちに、ピュアで優しい素のつづ井さん像ができていった気がします。

――実際、女5人が集ってわちゃわちゃ遊びまくる、愉快なシスターフッドも「つづ井さん」の大きな魅力です。

 つづ井さんを核に友達の友達が友達になって、それぞれ多忙な日々を過ごしながらも、誕生日会とか、みんなで会う日のために事前に計画を練って準備して、当日はお祭りみたいに全力で盛り上がる。大人になるとどうしても、そういう関係性って続けるのが難しいので、本当に幸せな5人だなと羨ましくなりますよね。

役との境界線がバグってきてる

――ドラマの「前世からの友」の5人は、どんな感じですか?

 みんな同世代ということもあって、会ってすぐに自然に同級生みたいな雰囲気が生まれたんです。本当に気を遣わず、喋りたい時に喋って、それぞれが全然違うことを喋ってたりする。ドラマの撮影をしているというよりは遊びに来てるような雰囲気。しかも、つづ井さんたちの遊びって、ツイスターとか相撲とか体を使う遊びが多いんですよ。アクション作品でもないのに、こんなに動き回るとは思いもしなくて、みんな筋肉痛ですよ。撮り終わった後も仕事をしたというよりは、遊び疲れたーって感じがあります(笑)。

――まさに「つづ井さん」的な、素晴らしい現場ですね。

 やっぱり、つづ井さんがなんでも楽しもうという心意気の方なので、こっちも楽しんじゃえ!って。撮影では、みんな自分からどんどんアイデアを出し合ってきてますね。相撲のシーンとか「今の角度、大丈夫だった?」「もうちょっとこうした方がおもしろいかも」って、真剣にカメラをチェックしたり(笑)。最近はみんなキャラクターを自分のものにしてきて、「◯◯だったら、もっとこう言うはずだ」って、かなり入り込んでますね。

 最近は役とその人の境界線がどんどんなくなってきて、キャスト5人で「前世からの友」という名前のグループLINEを作ってるんですが、LINEをやり取りしていても、どっちの設定で喋ってるのかわからないぐらい。先日もオカザキさん役の谷まりあちゃんから急に変な写真が送られてきて、怖い怖い、これどっち設定!?って、みんなバグってきてます(笑)。

顔芸大会的なことになってるかも(笑)

――5人のやりとりがどんな風に実写化されているのか、期待が募ります!

 女5人のわちゃわちゃトークのテンポ感は、最初の本読みで5人で徹底的に探り合いました。あと、オタクが興奮してブワーっと喋るときのテンションやスピード感、独特の専門用語や言語センスなんかも、かなりこだわってやってるので、ぜひ耳で楽しんでもらいたいですね。

――他に、実写ドラマ版ならではの見どころはありますか?

 表情もかなりこだわったポイントです。マンガだと表情も静止画の連続になるし、つづ井さんのマンガは絵自体がシンプルで表情もスンとしていて、だからこそのおもしろさがある。でも、映像では生身の人間ならではの微妙な表情とか、その表情に行くまでの動きが見せられるので、かなり顔芸大会的なことになってるかもしれません(笑)。

2024.10.09(水)
文=井口啓子
撮影=佐藤 亘