居酒屋「お多幸」と飲みやすさ抜群の焼酎「やまねこ」

 対馬ではhotel jinを滞在拠点とし、食事はもっぱらホテル裏手の川端通り界隈へ。桑田さん絶賛の居酒屋「お多幸」を訪ねてみると、満席状態。ガイドブックに紹介されているわけでもないのに島の常連さん、韓国からの観光客、ビジネス客、ごちゃ混ぜの状態です。

 評判のひと口カツや上海焼きそばをつまみながら、対馬の焼酎「やまねこ」をぐびり、ぐびり。飲みやすくて、お酒が進んでしまいます。

 実はこの「やまねこ」の蔵元である「白嶽酒造」へは、その日訪ねていたのだけれど、営業時間外だったために翌日、出直すことにしていました。すると、お多幸で囲炉裏を挟んで向かいに座っていた御仁が白嶽酒造の関係者だというじゃないですか。翌日の見学の約束をして、こちらも関係があるという醤油醸造所ともつないでもらいました。

 白嶽酒造では専務取締役にして杜氏の伊藤真太郎さんが、大きなタンクが連なる蔵内を案内してくれました。創業1919年の白嶽酒造は対馬唯一の造り酒屋。対馬は島の面積のほぼ9割を占める森林により水資源が豊富。地下20メートルから汲み上げた水は、えてして硬水になりがちだけれど、かつて大陸と地続きだったことから、対馬では軟水で酒造りができるそうです。

 対馬の名峰から名前をもらった日本酒「白嶽」は賞に輝く看板アイテム。1970年まではこの銘柄一本だったそう。1970年になって麦焼酎8:米焼酎2をブレンドした麦米焼酎の「やまねこ」が登場。すっきりと澄んだ、飲みやすい焼酎です。

 続いて川沿いにある「つしま総本舗」へ。こちらは1887年創業で、かつては数軒あったものの今ではここだけの醤油醸造所。店内にはオーソドックスな醤油のみならず、タイ、イカ、カツオなどそれぞれの魚に合うようにつくられた刺身醤油や、アオサ入り醤油など、バラエティ豊か。醤油ソフトクリームもコクがあって、おすすめです。

2024.09.21(土)
文・撮影=古関千恵子